周子「切なさ想いシューコちゃん」
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3:znAUHOH90[sage]
2017/08/10(木) 19:53:44.17 ID:06oxNczP0

あの時は私はたしか15歳で、Pさんはプロデューサーじゃなくて、マネージャーだった。
高校に行く、行かないでおとんと大喧嘩して、実家を飛び出したきり行き倒れ同然になってたあたしを拾ってくれたあのときも、Pさんは一枚だけのせんべい布団にあたしを寝かせて、自分は背中向いてパチパチパソコン打ってたっけな。
四畳間に一枚しか敷けない布団を譲って、高熱出してひっくり返ってた見ず知らずのあたしのこと、一晩中見ててくれたんでしょ。
少女マンガみたいに優しくて甘々なくせに、君は絶対、俺は優しいって、あたしに伝えてくれないんだ。
こっち向きなよ、もう。

「……この、いけず」
「なんで?」

結局、一緒に暮らした……もとい、匿ってもらったのは一ヶ月くらいだったのかな。
実家は大切にしろ、学校は行けるなら行け、ってPさんにも言われたねー。
あの時、あたし噛み付いたなー。今思えば、Pさんに捨てられるって思ったのかな。
それっくらい、Pさんに受け止めてもらってたんだね。あたしの色んな部分を。10代の家出娘を一ヶ月も匿うって事だけでも、ちょっと考えたってムチャなことだって思うし。
そしたら、「もしそれでも面白い事が何も無かったら、俺が周子を迎えに行く。周子をアイドルにして、一緒に面白い事探すから。必ず行くから、それまで頑張れ。」って言ってくれた。
本当に迎えに来てくれたときは驚いたよ。「すっかり看板娘だな」って笑ったPさんが店先に立ってた瞬間は、たぶん一生忘れないよ。
「俺もようやくプロデューサーだ。」って。サラッと言ったPさんが、その一言を言うためにどれくらい真剣に仕事に打ち込んでくれたのかって、当時はわからなかったけど。
あんとき魔法をかけてもらったんだって、あたしはハッキリわかるよ。

「ありがと……」
「なんだい、それ。」
「うっさい……」

聞き返さんといて。これでも、精一杯なんやから。

「へんなしゅーこー」

うっさいあほ。
あたしがこないへにゃへにゃになってまうの、あんたのせいやよ。


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