【ミリマス】君のその指にリースをはめて
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20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/05(木) 20:20:28.50 ID:TzvX0Up20

「……そうですか? プロデューサーが、忘れすぎてるだけの気もしますけど」

そう言って笑った琴葉の顔は、どこか「仕方ないな」って感じの笑顔だったけど。
なんとなく……そう、なんとなく。二人の間の距離感は、いつも通りのゆるーい感じに戻っていて。

「……そろそろ、戻るか?」

「……涙の痕が恥ずかしいから。落ち着くまで、もう少しここに居たいんです」

「そう? ……ならそんな琴葉を一人置いて、俺だけ戻るわけにもいかないな」

自然と、俺たち二人は欄干に肘を置くようにもたれかかって。
無数に輝く街灯りを眺めていると、琴葉がポツリと呟いた。

「……街の灯が」

「ん?」

「バースデーケーキの、ロウソクみたい……」

……うん、まぁ、確かに彼女の言う通り。
目の前に広がる夜景と言ったら、そんな風にも見えはする。

光の海だなんて表現が、あながち的外れでもないように。
……でもこれが琴葉の言う通り、ケーキのロウソクだったならさ。

「琴葉、お前一体何歳まで生きるつもりだ?」

すると彼女はしばし考え、茶目っ気タップリに言ったんだ。

「それこそ星の数程の年月を、一緒に過ごせると思いません?」

「……健康には、気を付けるよ」

「はい! ……約束を、破っちゃ嫌ですよプロデューサー。
私、いつまでもアナタを待ってますから。……さいごには、帰って来てくれますようにって」

そんな琴葉が俺に向ける、まるで憑き物の落ちたようなサッパリした笑顔を見ていると
……俺ももう少しだけ真人間にならなきゃいけないなぁと、反省させられる思いなのだ。


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