春日未来「一日限定友達生活」
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1:名無しNIPPER
2017/10/09(月) 02:57:41.28 ID:Qz0ENqNrO
恋人ってなんだろう。
そんな呟きは、テーブルの向こう側ででスマホをいじっていた翼の顔を上げさせた。

「どうしたの、未来」
「恋人ってなんなんだろう、って」
「私たちのことでしょ?」

と、翼。
そうその通りだ。私と翼は色々なことがあって、お互いに大好きだから付き合っている。
今日だって特に目的はないけど、ファミレスのドリンクバーで時間を潰しつつダラダラと二人きりで過ごしているところだ。
楽しいし、リラックス出来る。無理に会話を続ける必要もないくらいに気が置けない仲だもん。
でも、思うの。



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2:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 02:58:22.85 ID:Qz0ENqNrO
「こうやってダラダラ一緒に過ごせば恋人ってことなのかな」
「うーん、どうだろう」

そう、恋人らしいことをしていない、と思う。けれども恋人らしいことってなんだろう、とも思う。
翼を見るとスマホを仕舞って目を瞑りながら考え事をしているみたい。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:00:42.60 ID:Qz0ENqNrO
さらりと、まるで最近食べたスイーツの話をするかのように自然に言われた言葉。でも、内容はまるで甘くなくて。

「翼。私はそんなこと言いたかったんじゃなくて」
「分かってるよ、未来。だから一旦……明日の一日だけ別れてみよ?」

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:01:10.58 ID:Qz0ENqNrO
「明日は普通の友達同士に戻ってみてさ。それで何の問題もないなら別れてみても良いかもね」
「そ、そうかも」

翼も面白いこと思いつくなぁ。確かに何の問題もなければ、恋人じゃなくても良いもんね。
でも、案外問題はないんじゃないかな。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:02:49.48 ID:Qz0ENqNrO
「わあああああああああああ!? レッスンに遅刻しちゃううう!」

そんなやりとりの翌朝。
私は――寝坊してしまった。いつもならお母さんが起こしてくれるのにそれが全くないから。
朝ご飯を急いで食べる――――んんっ、喉に詰まっ、
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:03:45.77 ID:Qz0ENqNrO
あの娘? そう言われて誰のことを言っているのかはすぐに分かった――翼だ。
その後、お母さんにたまには自分で起きなさい、とのお説教を背中に受けながら私は玄関を出て、そして家の前に広がったいつもと違う光景を目にする。

「翼、いないんだ」

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:04:55.52 ID:Qz0ENqNrO
「あっ翼? どうしたの、いつもの所にいないけど」
『いつもの……? あぁ。だってさ、毎朝一緒に事務所に行くなんて大変でしょ――恋人じゃないのに』
「えっ、恋人でしょ……あっ」

と即答しておいて、すぐに思い出す。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:06:51.49 ID:Qz0ENqNrO
「ふへぇ……疲れたぁ」

ついつい床にへたり込んでしまう。ひんやりとした床の温度が、レッスン終わりの火照った体を冷やしてくれてどこか気持ち良い。

「遅刻したから追加で筋トレなんて、酷いよ」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:07:39.66 ID:Qz0ENqNrO
「あれ、翼がいない?」
「翼なら、さっき……瑞希さんたちとどっか、行ったよ…………?」
「えー?」

衝撃の事実。私はすぐにスマホを取り出して翼に電話を――なんだろう、デジャなんとか? の感じがする。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:08:11.39 ID:Qz0ENqNrO
「杏奈っ。一緒にお昼食べない?」
「えっ……」

えっ。
杏奈にしては珍しく嫌な顔を一瞬浮かべられて、思わぬショックを受ける。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:08:46.44 ID:Qz0ENqNrO
…………やっぱり寂しいかも。
私は自分のお弁当に箸を伸ばしつつそんなことを思った。
最初は私も普通に会話に入っていけたけれど、気づいたら、ね。

「杏奈ちゃん。今日はあのダンジョン行こうよっ。クリアすると『暴風の魔将』っていう称号が手に入るんだって!」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:09:15.34 ID:Qz0ENqNrO
「そう言えば未来」
「ふぇ?」

ぼーっと考え事をしていると、百合子ちゃんに話しかけられていた。相変わらず杏奈と密着しているのは流石って感じ。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:10:21.98 ID:Qz0ENqNrO
「あれだよ。いつも同じ人と食べてると飽きちゃうっていうか……」
「でも杏奈は、百合子さんとのご飯…………全然飽きないよ……?」
「私もだよ杏奈ちゃーん!」

また杏奈を抱きしめる百合子ちゃん。満更でもなさげに、百合子ちゃんの頭を撫でる杏奈。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:12:14.68 ID:Qz0ENqNrO
午後のレッスンも終わって、シャワーを浴びてスッキリ。
窓の外は橙色に染まっていて、いつもよりも長く感じた一日の終わりを告げているみたい。
取り出すのはスマホ。目を瞑ってても入力できるその数列を打ち込む。
待つこと数秒。

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:12:41.72 ID:Qz0ENqNrO
数分後、翼がやって来てくれた。思えば今日初めてまともに顔を付き合わせてるんだよね。凄い久しぶりに感じるよ、翼。

「急に呼び出したりなんかして……せっかく他の娘とカラオケにでも行こうと思ったのに」

顔を合わせてもやっぱりケロッとしている翼。私の気持ちなんてカケラも知らないで、全く。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:13:30.46 ID:Qz0ENqNrO
「…………良かったよ」
「翼?」

ボソリと、翼にしては珍しく弱々しい言葉。
きっと私しか聞いたことのないような弱み。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:14:13.59 ID:Qz0ENqNrO
そんなことを思って顔を見合わせて、お互い自然に笑みがこぼれてしまう。
嬉しいな、翼と一緒だとこんな少しのことですごく楽しくなれるの。
ただの友達とは全然違うよ。

「恋人らしいことなんて無くても、やっぱり恋人でいようねっ。翼!」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:15:43.29 ID:Qz0ENqNrO
「――んぅ」

キス、されていた。
何度しても慣れない熱。翼の女の子らしいところが全部私にのしかかって、触れた部分から焼けて、溶けて、めちゃくちゃになってしまいそうになる。
くらくら、する。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:16:19.27 ID:Qz0ENqNrO
な、なんだろう。急に恥ずかしくなって来た。
恋人で、キスして。
全部今までと変わらないのに、何もかもが違って見えて。でもそれは嫌なことじゃなくて。
明日から、きっともっと楽しい日々になる。
そう思うとどうしてもいいたい言葉がせり上がってきて、前を行く翼に絶対に聞かせたいと、そう思って。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:16:46.55 ID:Qz0ENqNrO
おしり


21:名無しNIPPER[sage]
2017/10/09(月) 03:48:55.88 ID:8NxZcFfDo



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