佐久間まゆ「凛ちゃん聞いてください! まゆ、プロデューサーさんとキスしました!」
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3: ◆E055cIpaPs
2017/10/29(日) 11:33:00.55 ID:T3zoKt8I0
 唇の上に乗った感触は初めてのもので、最初はそれが何なのか、まゆにはよく分かりませんでした。

 突然少しだけ暗くなった瞼の向こう側。

 何も触れていない筈の顔を覆うほのかな暖かさ。

 全身を支配する眠気に抗って薄らと開いた右の目が間近に映したのは、少しばかり切なそうなプロデューサーさんの表情でした。

 プロデューサーさんが、まゆにキスをしている。

 固いような柔らかいような不思議な感触は、どうやらあの人の唇だったようです。

 わかるわけなんか、無いですよね。

 だって、これが初めてのキスなんですから。

 いつだって、どんなに遠くからだって、両目に焼き付けるように見つめ続けたプロデューサーさんのお顔を、まゆが見間違う筈がありません。

 そうやって何時間も何日も何か月も、プロデューサーさんを見つめ続けて、考え続けて、思い続けて。

 そうやって夢のまた夢にまで見続けたこの景色は、まゆの意識をまどろみから引き上げるのに十分以上の衝撃を持っていました。

 きっとこの恋が報われることはないのだろうと、正直なところ諦めていました。

 きっとこの恋のことを思い出して、いつか友人と笑いあうのだろうと思い込もうとまでしていました。

 でも、違ったんです。

 そうです、叶ったんです。

 だってほら、見て下さいよ。

 まるで、胸の中から取り出したような夢が、鮮明な形になってここにあるんですから。


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