松田亜利沙「大好きを繋ぐレスポンス」
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9: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/10/29(日) 23:12:47.97 ID:s1IKgLXf0



 うつら、うつら。……がたんっ。

「……っ!」

 瞼を閉じて意識が飛んでいくか否かの瀬戸際だった。
 起きることができたのは、イヤホンから流れ始めたお気に入りの曲と、座席に座った身体が大きく揺れる感覚が同時にやってきたからだ。

 少しだけ、心臓が跳ねる。
 扉の上のディスプレイに表示された駅名はありさの目的地の三駅ほど前だったから、胸をなでおろすような心地で大きく息をついた。
 スマホを開いて時刻に目を向ける。大丈夫、この分なら間に合いそうだ。

 三駅……ぼーっとしていたらまた眠ってしてしまいそうな、微妙な時間だ。手持無沙汰のままでいるのは、ちょっと危ない。
 ぼやけたままの頭でSNSを開いて、行きそびれてしまった数日前のライブのレポを流し読みしていく。

 楽しかっただろうなぁ。
 書いている人の感情が乗った文章はそれを読むだけでどきどきとして、会場の熱気を追いかけているような感覚を抱かせてくれる。
 まだ少しだけ疲れが残っているありさには、ちょっと他人事みたいに思えてしまったりもするけど、それでも十分、元気をくれる栄養剤だ。

 記事を一つ読み終わるよりも先に、降りる駅への到着を知らせるアナウンスがありさの耳に届く。
 読みかけの記事を閉じたらそそくさとスマホをポケットにしまいこんで、ありさは扉の前へと足を向けた。



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