八幡「想いで」
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21:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:22:48.92 ID:5fkFdj7q0

今なら、その言葉の意味も分かる。あの頃、自分とそこまで年の変わらなかった少女が、こんな言葉を吐いたのかという驚きも、今になって漸く実感する。
誰かが吐いた言葉が、時間が過ぎ去った後になって、違う側面を見せてくるということは、よくあることだ。それは自分が成長した証だと言えるのだろうか。
それとも、ねじ曲がってしまった証拠となるのだろうか。巧妙な皮肉、遠回しな罵倒、そして、さりげない優しさ。俺は今までどれだけの物を見落としてきたのだろう。どれだけの感情から、目を背けてきたのだろうか。そんなことを思う。


22:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:26:29.51 ID:5fkFdj7q0

でもその時の俺は。

何も見えていなかった俺は。

以下略 AAS



23:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:28:50.98 ID:5fkFdj7q0

だから俺は―――――――

「俺は、その子にひどいことを言っちまったんだよな」

以下略 AAS



24:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:30:00.48 ID:5fkFdj7q0



『こんな思いをするくらいなら!!そんなの見つけられなくたっていい!!』 

以下略 AAS



25:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:38:48.83 ID:5fkFdj7q0

「…………」

「で、まあ、飛び出して帰っちまったわけだ」

以下略 AAS



26:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:39:51.27 ID:5fkFdj7q0

「………」

「今になって思えば、あの子も何か悩んでたのかもしれないな」

以下略 AAS



27:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:43:12.73 ID:5fkFdj7q0

「その子の名前とか、聞かなかったのかしら」

「聞かなかったな、何話してたかもあんまよく覚えてないし」

以下略 AAS



28:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:44:01.84 ID:5fkFdj7q0

歳月は、残酷なほどに記憶を捻じ曲げる。記憶の底にある彼女の姿は、歪められ、ぼやけてしまっている。ほんのわずかに残っている残骸をかき集めても、像を結ぶことは難しい。記憶の網に引っかかっているものの中で、一番大きなもの。唯一、言葉として表現出来そうなものはたったの一つだけだ。『黒髪』。水面よりももっと滑らかで、闇よりも深い色をした、『黒髪』だ。



29:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:44:29.76 ID:5fkFdj7q0

「確か、黒髪の綺麗な子だったぞ」

「なんだかあなたが言うと、途端に変態っぽさが聞こえてしまうのが残念ね。別に、そんなにおかしな感想というわけではないと思うのだけれど」

以下略 AAS



30:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 21:47:02.02 ID:5fkFdj7q0


「そういえば、よくよく思い出してみれば、お前に少し似ていたような気もするな」

「私に?」
以下略 AAS



31:名無しNIPPER
2017/11/16(木) 22:37:05.47 ID:5fkFdj7q0


「まあ、今、それの清算をしているようなもんだな。思い出と過去の、な」

「随分と詩的な表現ね。あなたのような人間がそんな言葉を使うなんて。気持ち悪いわ」
以下略 AAS



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