双葉杏「日本は、義理チョコをやめよう」
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1:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:37:19.09 ID:p6iGZwjEO
何作目か覚えてないので初投稿です。

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2:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:38:55.76 ID:p6iGZwjEO
 オフィスはとうに無人だった。

 事務員などは定時で帰るし、定時を過ぎればあとは個々人の裁量で退社できる。

 仮にやるべきことが残っていても、その大半は会社に残らないといけない業務ではない。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:40:02.84 ID:p6iGZwjEO
「よす」

「おっす。……こんなとこで何してんだ。もう九時だぞ」

「そーそー。プロデューサーいつまで仕事してんのさ。すっかり冷えちゃったよ」
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:41:17.08 ID:p6iGZwjEO
 ロックを解除すると、杏は飛びつくように助手席に乗り込む。溜め息を吐いてプロデューサーは運転席へと向かった。

 ずっと冷えた空間に置かれた車内は外とそう変わらない肌寒さだった。

 すぐにキーを回して暖房をつける。ごうごうと音を立てて若干冷たい風の後に、ぬるい空気が吐き出され始めた。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:42:13.19 ID:p6iGZwjEO
 エンジンが温まってきたところで、ゆったりと車を発進させる。

 杏を乗せたからには最優先で彼女の家まで送り届けねばならない。少し遠回りになるか、とプロデューサーは頭の中で経路の計算を始めた。

「……ほんと、わざわざこんな日に残業なんてご苦労なことだよ。バレンタインデーだってのに、用事の一つもないわけ?」
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:43:01.25 ID:p6iGZwjEO
 プロデューサーは鼻でせせら笑う。詭弁もいいとこだった。労力を割かないという目的に向ける、エネルギーのベクトルが間違っていると言わざるを得ない。

「ま、バレンタインなんざ所詮は販売戦略の一環だ。そんな世俗的なものに労力を割くくらいなら別のことに時間を使う。そこに関してはお前に同意するよ」

「お、強がり言っちゃって。ほんとはチョコ欲しいくせに」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:44:00.74 ID:p6iGZwjEO
 杏が懐から取り出した箱を目にしたプロデューサーは思わず急ブレーキを踏む。

 幸い人通りのない道だったから追突の心配もなかったが、急な動きにシートベルトに締め付けられた杏は「ぐぇ」とカエルのようなうめき声を上げた。

「ちょっと……安全運転安全運転。ていうかよそ見しないでよ」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:44:59.31 ID:p6iGZwjEO
 チラ見せしておいてよそ見するな、早く出ろとはどういう物言いだという思いはあったが、自分の運転マナーが悪かったのは事実なので口をつぐんでおいた。

「……まぁ、ひがんでたのは事実だよ。俺には縁のない話だし、ってな……でもお前が? どういう風の吹き回しだ」

「きらり」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:45:39.26 ID:p6iGZwjEO
 杏の言葉を聞いて、プロデューサーは再び急ブレーキを掛ける。悲鳴のようなくぐもった「げぶっ」という声が助手席から聞こえた。

「二度目!!」

「いやいや、それ買ってきたんじゃないの? 作ったわけ? わざわざ?」
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:46:26.32 ID:p6iGZwjEO
 黙ってしまった杏をしばらく眺めていたが、何の返事もなさそうだと判断したプロデューサーは無言で車を発進させる。

 しばらくの間会話はなかった。思い返してみれば、ここまでの会話は杏から切り出されたものだ。彼女が話さなければそうなってしまうのも自然なのかもしれない。

「……悪かったよ。想像もしてなかったから口を滑らせた。さっきまでの話は本気にしないでくれ」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:47:11.39 ID:p6iGZwjEO
 プロデューサーはぼやきながら路肩に車を停めた。シートベルトを外した杏は、じゃあこれ、と手に持っていたチョコレートの箱をプロデューサーに手渡した。

「今日のお駄賃ってことで。送ってくれてありがとね」

「お、おぉ……お駄賃ねぇ。バレンタインではないのか」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:47:42.39 ID:p6iGZwjEO
 杏は車から降りて、振り向きざまに答える。

「――杏だって、たまには年相応に女の子らしいことしたいだけだよ。へそ曲がりのプロデューサーには伝わんないかもしんないけどね」

 そして扉を閉めた。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2018/02/10(土) 12:49:24.08 ID:p6iGZwjEO
おわり。

「杏だって女の子なんですー!」
そんなお話でした。

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage]
2018/02/10(土) 13:48:33.35 ID:NSAASHSTo
おつい
かわ……かわ……


15:名無しNIPPER[sage]
2018/02/10(土) 16:02:10.10 ID:R4f4ELW9O
取り敢えずPはちょっとやそっとのことでブレーキ踏みまくる危険運転野郎だということは分かった


16:名無しNIPPER[sage]
2018/02/10(土) 16:27:05.20 ID:zlf53ag4o
嫌なご時世になったもんだ……


17:名無しNIPPER[sage]
2018/02/10(土) 23:32:41.05 ID:NonUQckzo
どんなご時世でも急ブレーキかけまくるのは迷惑行為でしかないよ


18:名無しNIPPER[sage]
2018/02/11(日) 13:14:38.67 ID:iJMaykUio
乙乙
杏の女の子モードはたまらないのう


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