北条加蓮「どうしようもない話」
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11:名無しNIPPER[saga]
2018/02/13(火) 18:44:33.24 ID:K48b6BSl0

「そろそろ離れないか?」

「満足できた?」

「ああ。十分満足した。ありがとう、加蓮」

「どういたしまして。それじゃあ、ちょっと離れよっか」

 名残惜しさを感じながらも彼から離れる。腕と胸にはまだ微かに熱が残っている。

「優しさ、感じた?」

「ん? まあ、感じたな。加蓮は優しいよ」

「感謝してる?」

「してるしてる。今なら何でも言うことを聞いてやりたいくらいだ」

「そっか。なら早速」

 ぎゅー、と彼の胸へと飛び込む。「なっ」と声を上げて、彼はその身を固まらせる。

「さっきは私が優しくしたから、今度はPさんが優しくして?」

「優しく、って」

「ぎゅ、ってしてほしいの。あと、頭を撫でたりもしてほしい。とにかく甘やかしてほしいな」

「……加蓮って、来る時はぐいぐい来るよな」

「誰かさんとは違うもの。それより、ほら。早く」

「……」

 ぎゅ、と彼が私を抱きしめる。彼の体温が私を包み、胸の奥にまで沁み込んでいく。お風呂に入った時みたいに全身から力が抜けて、気持ちいい。

「首……」

「首?」

「撫でて、みて。私がさっき、やったみたいに」

 私のことを抱きしめたまま、彼の指が首にかかる。私のものよりも大きくて、ごつごつとしている指が首に触れる。
 そのまま彼が猫にするみたいにして私の首をくすぐったから、私は「にゃあ」と鳴いてみせた。

「大きい猫だな」

「手のかかりそうな猫?」

「かかり過ぎて困るくらいに」

「そっか。じゃあ、もっともっと困らせてあげる」

 今までよりも、もっともっと。
 私のこと以外、考えられなくなっちゃうくらいに。

 顔を上げて、私はそう口にした。
 それは困るな、と彼は笑った。






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