北条加蓮「どうしようもない話」
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4:名無しNIPPER[saga]
2018/02/13(火) 18:34:23.10 ID:K48b6BSl0

「プロデューサー、目、つぶって」

「なんでだよ」

「悪趣味って言葉を撤回させてあげようと思って」

「こわいんだが」

「いいから」

 何がいいんだよ、とつぶやきながらも彼は目をつぶってくれる。そんな彼を見て、私は嬉しくなってしまう。
 人が五感から得る情報のほとんどは視覚から得る情報だと言う。その視覚をあずけられるということは、それだけ心もあずけているということ、かもしれない。
 少なくとも、私の場合はそうだ。家族以外には凛や奈緒、それから彼の前くらいしか、私は目を閉じられない、と思う。まあ、彼に目を閉じてなんて言われたら……ちょっと、他のことも考えちゃうかもしれないけど。

「じゃあ、プロデューサー。息を吸ってー」

「息?」

「そう。早く早く」

「……」

 すぅ、と彼が息を吸う。「吐いてー」声に合わせて、はぁ、と彼が息を吐き出す。そうして彼が息を吐ききった瞬間、

「ぎゅー」

 と彼の頭を抱きしめる。

「んぐ!?」

 胸の中で彼が大きくびくりと跳ねて逃げようとする。もちろん逃がすつもりはない。彼は我慢できないと言うように、私の胸の中で息を吸う。



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