6:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/20(火) 00:15:18.84 ID:PoruoH2d0
その瞬間、恐怖の感情は消え失せ、逆に怒りが沸騰するように湧き出した。
「…………みゃ」
「うみゃあああああぁぁぁっ!!!」
さっきまで凍りついていた私の体は、反射的にセルリアンの体へと飛びついていた。
ぎらりと先を尖らせた爪で、がりがり、がりがりと、セルリアンを引き裂いて、
引き裂いて、引き裂いて、引き裂いて、
がりっ、がりっがりっ、がりりっ
「みゃあっ!! うみゃああぁっ!! 返して、返してよっ!! かばんちゃんを返して!!!」
がり、がりがりがり、がりっ
「みゃっ!! うみゃっ!! うみゃーーーっ!!!」
「はあっ、はあっ………………」
「かばんちゃんは…………怖がりだけど優しくて、困ってる子のためにいろんなことを考えて、とっても頑張り屋さんで…………」
「まだお話したいことも、一緒に行きたいところも、たっくさんあって…………」
「だから、だから返して……………っ」
「かばんちゃんを、返してよーーーーーっっ!!!」
世界に自分一人しかいないとさえ思えてしまうくらい、静かな夜の森を突き抜けるように、私の大きな声は辺りに響き渡った。
ぐらっ
「え…………きゃあっ!」
精いっぱいの思いもむなしく、私の体はやすやすと、セルリアンの黒い足に吹き飛ばされた。
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