彼は普通の人でした
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16:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 21:24:50.29 ID:OveROufQ0
運営の方向性なのです。私たちは結局アイドル。パフォーマーではないのです。

歌をいくら頑張っても上手い人はもっといて、ダンスだって同じく。容姿だってモデルさんが並んでしまうと霞んでしまいます。

半端な能力をいかに可愛く見せられるか。それがアイドルなのです。

とはいえ、それをお客さんに向かって主張することなんて、どうしてできましょうか。

あんたなんかに言われたくない。私の邪魔をするより、自分の推しを応援すればいいじゃない。

そんな文句を言いたくても、それを言ったが最後。私のアイドル人生は終わりを迎えます。

だから私は謝るしかありません。すみません、すみません。心にもない謝罪を、言葉ではいくらでも繰り返します。

早く時間が過ぎてくれないでしょうか。私に十枚分、一万円も使ってまで文句を言いたいことがあるのでしょうか。それよりは好きな子に会いに行った方が、よっぽど有意義だと思うのに。

「お時間でーす」

電車さんが声を出して、タケシタの肩を叩きます。それなのに、彼は剥がれようとはしません。

「今に見てろ、お前なんか選抜落ちさせてやるからな」

そんなこと、できるはずもないのに。

「そうならないように、頑張ります」

作り笑いの困った笑みで、タケシタを見つめ返します。笑顔でいることが、アイドルの私の最大の武器だから。私の武器で、彼を殺すしかないのだから。

舌打ちをして、彼はそのまま出て行きました。電車さんも立ち位置に戻って、次のファンを待ち構えます。私も同じく、新たな武器を身にまとい、次の方を出迎えます。

いつも通りです。これが私の、日常。


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