【ﾓﾊﾞﾏｽ】臆病、不器用、マイペース-SS速報VIP

【ﾓﾊﾞﾏｽ】臆病、不器用、マイペース

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1: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/09(月) 20:31:35.03 ID:RsWLcxg/0
・地の文
・設定改変、独自解釈を含む
・そんなに長くはない

よろしければお付き合いください

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2: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:33:02.40 ID:RsWLcxg/0

私、池袋晶葉は天才だ。

……ふむ。
小娘が大言壮語を、とでも言いたげだな。

3: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:35:11.45 ID:RsWLcxg/0

しかし誤解しないで欲しい。
天才というのは、決して万能ではない。
いや、中にはそういう化け物じみた天才もいないわけではないが。
そんなものは例外中の例外だ。

4: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:36:17.80 ID:RsWLcxg/0

ん？
なんでロボット製作者がアイドルを、だと？

正直な所、私にもわからん。

5: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:37:00.74 ID:RsWLcxg/0

才能？
まあ、何かしらの素養はあったのだろう。
だが、天に愛された人間というのをこの目で見てしまっているからな。
彼女たちに比べれば、私は凡人だよ。

6: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:38:36.40 ID:RsWLcxg/0

***************************

重い体を引き摺って、目的の扉を開く。

7: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:40:37.37 ID:RsWLcxg/0

「おはようございます！」

「……ああ、おはよう」

8: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:41:27.17 ID:RsWLcxg/0

……パン？
こういう時は、スポーツドリンクなどが適切だと思うのだが。

いや、そういう問題ではない。

9: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:43:27.12 ID:RsWLcxg/0

「心遣いはありがたいのだが……」

ともかく、せっかくの好意だ。
ありがたく頂くべきだろう。

10: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:44:12.88 ID:RsWLcxg/0

ありがたく頂くべきだったのか？
もらったものを結局食べられないのは、失礼じゃないのか？
違う、そうじゃない。
断るにしても、もっと言い方というものがあるだろう？

11: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:46:49.11 ID:RsWLcxg/0

高速で空回りを続ける頭脳は、何一つ解答を導き出さない。
結局私は、何一つアクションを起こすことが出来なかった。

「お疲れ様でございますねー」

12: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:47:23.52 ID:RsWLcxg/0

「……おはよう、ございます」

「あ、あぁ、おはよう」

13: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:48:24.12 ID:RsWLcxg/0

音の主はライラらしい。
その頬がわずかに赤く染まっている。

「……ぷっ」

14: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:49:01.97 ID:RsWLcxg/0

しかし今のやり取り。
ひょっとしてみちるは、私にしたのと同じように、ライラにもぶつかっていったのだろうか。
もしそうなのだとしたら、なんと不器用なのだろう。
けれど、そんなみちるがたまらなく眩しかった。

15: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:50:03.56 ID:RsWLcxg/0

「はい、どうぞでございます」

我に返ると、テーブルに三つのお茶が置かれていた。
休憩室のドリンクサーバーから、ライラが用意してくれたらしい。

16: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:51:01.42 ID:RsWLcxg/0

「さて、それでは！」

みちるの目が輝いている。
手を合わせる音が小気味よく響いた。

17: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:51:59.02 ID:RsWLcxg/0

「……ふむ」

それにしても、二人とも実に美味しそうに食べる。

18: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:52:56.38 ID:RsWLcxg/0

「いやそれは……」

確かに、ライラの提案は魅力的だ。
けれど私は、みちるの好意を一度無下にしてしまっている。

19: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:54:21.02 ID:RsWLcxg/0

「あははー。みんなで食べれば、もっと美味しくなりますから！」

もし、アイドルになる前の自分だったら。
今のみちるの言葉など、歯牙にもかけなかっただろう。

20: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:56:47.33 ID:RsWLcxg/0

だが。

「なあ、みちるよ」

21: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2018/04/09(月) 20:57:22.65 ID:RsWLcxg/0

どうやら二人とも、私の真意は掴めていないらしい。
まあ、それも仕方ないだろう。
みちるの技術を盗み、それを超えるものを見せつけてやるのだ。
無論、私のロボがな。

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