小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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1:名無しNIPPER
2018/04/24(火) 22:19:15.84 ID:WQSNhX7B0
うづみほです

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2:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:20:59.64 ID:WQSNhX7B0
たぶん物語の始まりには色んなきっかけがあって、それはもしかすると楽屋でキャンディ爆弾を一緒に食べたのが最初だったかもしれないし、もう少し遡れば彼女とユニットを組んだあの瞬間からかもしれなくて、でも究極的には宇宙が誕生したことがすべての始まりなので、私と卯月ちゃんの関係はじつは138億年前からすでに決まっていたことなのかもしれなかった。

だけど私たちはまだ地球に生まれて17年しか経ってなくて、実際のところ私がなぜ卯月ちゃんを「お姉ちゃん」と呼ぶようになったのか、その理由を説明するのはそんなに難しいことじゃないと思う。

べつに姉妹ごっこがしたかったわけじゃないけど……でも、なんだかそうなってしまったのだ。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:21:43.26 ID:WQSNhX7B0
私たちの住んでいるマンションは小高い丘の上に建っていて、周囲にはこれより背の高い建物はない。

というか、ベランダのある方角には田んぼが広がっていたりする。
大きな川も流れてるし、マンションの周りがそもそも雑木林になっている。
そこだけ見ればちょっと田舎っぽい。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:22:47.24 ID:WQSNhX7B0
寒くなってきたので部屋に戻った。

カーテンの隙間から漏れる星明かりをたよりに、そろりそろりとベッドにもぐりこむ。

「眠れないの?」
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:23:51.27 ID:WQSNhX7B0
宇宙が膨張するのをやめて、地球上のいくつかの人たちは天使になった。
学者の偉い人がテレビで解説していたことによれば、ビッグバン以来広がり続けていた宇宙が収縮へと折り返す瞬間、過去と未来が重なり合って世界は完全な循環構造になる。曰く、ビッグクランチがどうのこうの。
それがどうして人間がからっぽになることに繋がるのか私にはよく分からなかったけど、世間の人々はおおむねその説を支持している。


以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:24:37.42 ID:WQSNhX7B0



秘密基地にね。
友達がいたの……昔の話。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:25:53.76 ID:WQSNhX7B0
それから放課後になると秘密基地に集まるようになって、名前も学年もそうやって知り合っていった。
じつは彼女は私よりもひとつ年上だった。けど私よりちょっと背が低くて、お人形みたいに綺麗な顔をしていた。

たぶん頭も良かったんだと思う。
彼女の言ってることはいつもむずかしかった。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:26:50.35 ID:WQSNhX7B0



お化けなんていうのはそもそも論理的に考えて存在するわけがなく、ましてやお化け屋敷などスタッフがお化けの仮装をして脅かすだけの非合理的なアトラクションなので行く意味がありません。
論破です。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:27:50.74 ID:WQSNhX7B0
私は卯月ちゃんを怖がらせるだけ怖がらせたあとタネ明かしをした。

「まあ本当はスタッフが幽霊のふりをして脅かすだけなんだけどね」

「もーっ、美穂ちゃん怖がらせないでよ……でも、それなら全然こわくなさそうですね」
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:28:38.73 ID:WQSNhX7B0
「ああ、お金はいりませんよ。入場チケットだけ見せていただければ」

入場料がいらないのはお財布的には助かるけど、それはそれでますます大丈夫かなって気がしてくる。

私と卯月ちゃんが不安に顔を見合わせていると、お姉さんが照れくさそうに笑って言った。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:29:21.87 ID:WQSNhX7B0
お化け屋敷の入り口はプレハブ小屋みたいな安っぽい作りだったけど中に入ると真っ暗で道が狭く、雰囲気は案外しっかりしていた。
背後で受付のお姉さんの声が聞こえた。「振り向かないで歩いてくださいねー」

卯月ちゃんが私にぴったりくっついてぷるぷる震えながらついて来る。
私はどちらかというと(早くお化けが出てこないかな)と思いながら暗闇の通路に目を凝らしていた。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:30:13.10 ID:WQSNhX7B0
「じゃあ、ここは美穂ちゃんの母校なんですか?」

「そういうことになるね。なつかしいなあ」

私の思い出はわりと単純な作りになっていて、辺りに生えている草木や校舎なんかはハリボテみたいにのっぺりしてリアルさを欠いていた。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:30:47.81 ID:WQSNhX7B0
私たちは秘密基地に隠された脱出のヒントを探すためにガラクタの山をあさってみた。

けれど私がそうやって思い出のかけらをひとつ掬い上げると今度はそれが次のふたつの思い出のかけらを呼び覚まし、結局キリがないのでおもちゃ箱をひっくり返すのはやめにした。

それに、そんなことをしなくても私はすでに分かっていたのだ。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:31:17.88 ID:WQSNhX7B0



お姉ちゃんがいなくなったことについて、私が最初に相談しに行ったのは卯月ちゃんの両親でもプロデューサーさんでもなく、橘ありすちゃんだった。

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:32:27.55 ID:WQSNhX7B0
「それは、えーっと……分かりません」

ありすちゃんは申し訳無さそうにうなだれた。

「ありすちゃんもこういう経験をしたことがあるんじゃないの?」
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:33:05.57 ID:WQSNhX7B0
その日の夜、卯月ちゃんは私より先にマンションの部屋に戻っていた。

「おかえり〜、遅かったね」

お姉ちゃんはまるで一日中そこにいたみたいにソファに寝転がって雑誌を読んでいた。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:33:44.01 ID:WQSNhX7B0
「帰り道は文香ちゃんに教えてもらったの」

「文香さんが?」

「うん。ありすちゃんに相談したんでしょ? それで文香ちゃんが美穂を探すのを手伝ってくれて」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:34:20.79 ID:WQSNhX7B0
メリーゴーランド、観覧車、コーヒーカップ、ぐるぐる回るいろんな遊び。
2人の女の子は遊園地の乗り物をくまなく研究し、回るということについて考えました。

「回る、つまり回転するっていうのはどういうことだと思う?」

以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:35:05.53 ID:WQSNhX7B0

「……めでたしめでたし、ってこと?」

「ううん、まだ続きがあるんだ。そのあと2人の女の子は遊園地のなかで人ごみに流されて迷子になっちゃうの」

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:35:48.93 ID:WQSNhX7B0



「卯月ちゃんは飴って好き?」

以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:36:28.77 ID:WQSNhX7B0
それからしばらくのあいだ楽屋では2人ぶんのひーひー言い合う声がひびいた。

私はとびきりすっぱいキャンディをなんとか口の中に押し込みながら言い訳をした。

「あのね、ちがうの、ほら私って緊張しいでしょ? だからリハの前にはいつもこれ食べて落ち着かせてるの、ねえ本当だってば」
以下略 AAS



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