1: ◆YBm93b2VSc
2018/05/25(金) 23:43:04.83 ID:fmqcqaRp0
NGと少しTPのSSです。総選挙の話と少しのシリアスです。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆YBm93b2VSc
2018/05/25(金) 23:44:25.81 ID:fmqcqaRp0
いつか一番になりたい、という甘えた考えはいつからか、今すぐ一番になってみせるという想いに変わっていた。
それでも、そう上手くは行かない訳で。今回の総選挙で私、本田未央は惜しくも二位という結果になったのだった。
いや、惜しくもと言う表現は少し改めなくてはならない。まず、応援してくれたファンの皆が居てくれるからこの順位なのであって、
それを一位では無いからと言って惜しむようなことはしたくない。
3: ◆YBm93b2VSc
2018/05/25(金) 23:46:01.02 ID:fmqcqaRp0
……悔しいに、決まっている。私だって頑張ってきたんだ。目指すは一番、色んな期待を背負ってきたし、私も一番になりたかった。
それが、結果だけ見たら大きく差をつけられての二位。応援してくれた皆には決して、二位でごめんなんて情けない事は言わないけれど、
でも心の片隅でそう思ってしまう自分が居るのも否定できなかった。
そんな状態でも私が二日足らずで現場復帰できたのは菜々さんのお陰でもある。あれだけ最っ高に輝いていた菜々さんと、
4: ◆YBm93b2VSc
2018/05/25(金) 23:48:17.36 ID:fmqcqaRp0
未央「何してるの?しぶりん」
凛「ん、んー」
未央「え、何?どうしたの?」
5: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:14:22.90 ID:74OaN09z0
何だろう、このしぶりんは。前提として、レッスンで凄く疲れてる時も冗談を言う時も、しぶりんは基本的に事務所では横になったりしない。
そのしぶりんが目の前でぐったりとソファに横たわっているというのだ。こんな風にソファに寝っ転がるしぶりんはそうそうお目にかかれない光景である。
まあ誰かの家とかなら見られるけど。と、それは兎も角。今日は本当にどうしたと言うのだろう。
また何かおふざけでも仕掛けてきているのかとも考えたけど、たまに来る面倒臭いときの絡みじゃ無くて、ただ単に気が抜けているような……。
6: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:15:10.95 ID:74OaN09z0
卯月「おはようございます……、あ、未央ちゃんと凛ちゃんだぁ〜」
未央「しまむー、おはよっ!って、うん?」
今何か凄い違和感が。
7: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:16:33.82 ID:74OaN09z0
困った、今日はしまむーも変な日だ。
いつもはしまむーがしぶりんの変になった理由を見つけてくれるというのに、こうなってしまっては頼る相手が居ない。
いや、まあ、正直理由は何となく察しが付くのだけれど、それを私が自分で言うのも少し気が引けるというか。
もう少し話したら向こうから理由を話してくれるかも知れない、という淡い期待を胸に、会話を続ける事にした。
8: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:17:43.22 ID:74OaN09z0
凛「何か考え込んでたみたいだけど、どうしたの?」
未央「どうしたのはさっきから言ってるけどこっちの台詞だからね」
卯月「きっと私達がどうしてだらけてるか考えてたんですよ」
9: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:18:08.39 ID:74OaN09z0
凛「まあ気を使う達人の未央だから、大体察しが付いてると思うけど」
未央「太極拳を極めたみたいな言い方やめて」
凛「私達は今やる気が99%カットされた状態だから」
10: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:18:58.67 ID:74OaN09z0
凛「もしかして未央、怒ってる?」
未央「怒ってるか怒ってないかで言えば、怒ってる方だと思うけど」
凛「怒ってないか、やや怒ってないか、どちらでも無いかで言えば?」
11: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:19:42.74 ID:74OaN09z0
……ふう。こうなった二人を相手するのがこんなに大変だとは思ってなかった。
普段の冗談みたいに、ちょっと話をすれば戻ってくれるはずと見くびっていたのかも知れない。いや、見くびるって何なの?という話なのだけれど。
取り敢えず二人が相当根深くやる気が無いのは分かったけれど、これは元に戻るのに時間がかかる事も分かってしまった。
誰か助けてはくれないだろうか。と、考えていたら、祈りが通じたのかタイミング良く事務所の扉が開いた。
12: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:20:33.02 ID:74OaN09z0
美優「おはようございます、あら?」
未央「あっ、みゆみゆ、おはよ!」
美優「ええ、おはよう……」
13: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:21:18.13 ID:74OaN09z0
美優「お邪魔しても悪いし……ね?」
未央「そんな事無いよ!さあ一緒にお話しよ!?ね、ね!?」
美優「いえいえそんな、ユニット水入らずじゃ無いですか」
14: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:22:14.17 ID:74OaN09z0
凛「未央、楽しそうに話してたね」
未央「どう見たらそう見えたのかな」
卯月「あんなに沢山お話ししてて、ちょっと妬いちゃいます」
15: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:23:03.67 ID:74OaN09z0
埒が明かない。いい加減、どうにかしないと私がどうにかなってしまいそうだ。
仕方が無いのでそろそろ本題を聞き出そうかという時に、またガチャリと扉が開かれる。
奈氏uおはよーっす、って、ああ……」
16: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:23:50.34 ID:74OaN09z0
未央「どうやらかみやんは事情を知ってそうだね?」
奈氏uああ、まあな。二人とは昨日会ったし」
未央「じゃあ、どうしてあんな風になってるか教えてくんない?」
17: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:25:37.55 ID:74OaN09z0
未央「いやぁ、何というか、自分で言うのも、ね」
奈氏u分かる、分かるぞ未央。自分で分かってても言いづらい事は結構あるよなぁ」
加蓮「そういう時の奈獅ェこれまた可愛いんだけどね」
18: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:26:12.42 ID:74OaN09z0
未央「ねえ、かれんも事情は知ってるの?」
加蓮「まあね。うん、でも思ってたよりひどくなってたかな」
奈氏uNGのメンタルはあんまり強くないからな……」
19: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:27:45.01 ID:74OaN09z0
二人がやる気をなくしてた理由、それは簡単な話で、私と同じだっただけの事なんだ。私が二位だったこと。
あれだけ盛り上がったんだ、その熱が抜けたら少しはやる気も抜けるというものだ。
私の結果だと言うのに、これだけ落ち込んでくれているというのは、変な話だけれど嬉しく感じている。
だけどそれと同じ位悔しさと申し訳なさが、心の中にじんわりと込み上げてきていた。
私がいなかった昨日に、私と同じぐらい落ち込んでいたんだろうか、とか、今日はその気分を引きずったまま来て、
20: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:29:20.95 ID:74OaN09z0
だったら、出来る事なんて一つで。
上手く言葉には出来ないかも知れないけれど、二人には言わなくちゃいけないから。
21: ◆YBm93b2VSc
2018/05/26(土) 00:30:26.85 ID:74OaN09z0
未央「二人とも」
凛卯月「「……」」
未央「私は、大丈夫だから」
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