渋谷凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」
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12:名無しNIPPER[saga]
2018/06/08(金) 01:56:05.05 ID:I88sbQdx0
凛は俺が想像してた中で、最も理想的な反応をしてくれた。
悲しんでくれて、でも変にマイナスの感情を膨らまさない。凄い子だ。

ただそれでも何もかもいつも通りという訳にも、さすがにいかなかった。例えば、凡ゆる一年に一度の行事、つまりハロウィンやクリスマス、正月といったもののたびに、これが最初で最後だな、などと考えてしまう。それはどうしようもないことだと、俺たちは割り切るようにしていた。
そして、感傷までも楽しむみたいに、笑いあった。

大学の方は秋学期も恙無く終わり、プロデュースに重心を置き始めたせいもあって6個だか8個だか単位を落としはしたが、とりあえず次の学年への進級はほぼ確実になっていた。

クリスマスは当日に凛と島村さんと本田さんの単独ライブが小劇場であって、そうしてニュージェネレーションが世間に姿をあらわした。合同曲は一番実績のあった本田さんのプロデューサーが担当したから、俺は専ら凛ばかり相手にしていたが。

…それから、簡単な打ち上げのあと事務所の近くのレストランで深夜のディナーを食べて、俺と凛はプレゼントを交換しあった。

「家族とじゃなくて良かったのか?」

「イヴがそうだったから」

と言ってから凛は、

「でも普通逆かもね」

と呟いた。

「逆?」

「クリスマスが家族と過ごす日で、イヴは…」

そこまで言って凛は止まった。
イヴは恋人と、と続けようとしたのが、口の形で分かった気がして、俺のもどかしいような、焦がれるような、そんな感覚に支配された。

別にそんな決まりはないだろ、とか、クリスマスっていうのは24日の日が暮れたらそうだんだよ、とか、意味のないことをまくしたてた記憶がある。


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