渋谷凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」
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5:名無しNIPPER[saga]
2018/06/08(金) 01:20:41.92 ID:I88sbQdx0
私とプロデューサーの関係性はほとんど問題なかったけど、一度だけ、私は彼に噛み付いたことがある。私の最初の仕事、というか最初の仕事の前の準備として、宣材写真を撮ったとき。
なかなか笑顔が作れなくて行き詰まった私がスタジオの外に出ると、プロデューサーが1人で煙草を吹かしてたんだ。
なんだか、私が頑張ってるのにプロデューサーは真剣じゃないみたいで、気づいたらすごく怒った声になってた。
「プロデューサー、何してるの?」
「ん。待ってた」
「…何を?」
「渋谷の撮影が終わるのを」
「なんで?」
「何が」
「なんでそんな風なの?私の撮影に、興味ないの…?」
このとき、多分私、少し泣いてたんだろうな。撮影の不安とプロデューサーへの不信が混ざって。私の顔を見た彼はハッとした表情をしてた。
それで、プロデューサーは静かに煙を吐き出してから、はぐらかすのはヤメだ、とでも言うみたいに首を軽く振って、私の方を見て言った。
「まあ、正直、今回はないよ。興味は」
って。
それから、私が何か口にする前に
「渋谷が真剣に悩んでるから俺も真剣に答えるけどな。俺は、事務所で撮ってあった制服のやつが一番魅力的だと思うから」
って続けた。
「だから今日は渋谷が満足するまでやったら帰ろうと思ってた。それで、良いのが撮れなかったってちひろさんには説明しようと」
「適当なこと言わないでよ」
「適当じゃない。気持ち悪いとは思うけど」
そう言いながらプロデューサーは私にスマートフォンを投げてよこした。ロック画面は仏頂面で制服を着た私だった。
「…普通に気持ち悪いかな、これは」
「だろうな。バレたから変えるよ」
私は頷いた。頷いたとき、もう自分が怒ってないことに気づいた。
そのあと私は何のつもりか、試しに、ロックキーに私の誕生日を打ち込んでみた。それもしたり顔で。
「何してるんだ?」
「別に。…これ、返すよ」
もちろんロックはあかなくて、あれは結構恥ずかしかったな。
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