勇者「休暇?」女神「異世界転生しすぎです、勇者さま」
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29:名無しNIPPER[saga]
2018/06/28(木) 20:08:52.40 ID:tw4cR42z0
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魔王の虚ろな目が、俺の顔を睨んだまま止まっていた。

ピチャリ、と音。

それ以外は無音のまま。

勝利のファンファーレなんて流れない。

仲間の歓喜の声も聞こえない。

振り返ったって、魔王の獄炎に焼かれて炭となったモノがあるだけだ。

静寂が包んだ城の広間に、外から微かに歓声が聞こえてくる。きっと魔王が死んだことを知ったのだ。

終わった。

幾年にも及ぶ人間と魔族の戦いが、ようやく終わりを告げた。

平和が訪れたのだ。

もう魔族の者と戦う必要も、いつ殺されるかもわからない夜を過ごすことも、闇を恐れて生きる義務も、今となっては不要の長物だ。

なのに、どうしてだろう。

こんなにも、得たものよりも失ったもののことが頭の中に浮かぶのは。

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