佐々木「やぁ、キョン。待ちくたびれたよ」キョン「佐々木……何してるんだ?」
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1:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 21:58:42.99 ID:sSMsKf7k0
三連休最終日。

キョン「……暑すぎる」

地表面に良い感じの焼き目がついたのではないかと錯覚するほど、狂ったような猛暑続き。
気象予報士曰く、この日照りがあと一週間も継続するというのだから、世も末である。
神は7日で世界を燃やし尽くしたなんて伝説も、あながち眉唾ではないのかも知れない。
日常生活において信心深さのカケラもない俺にすらそう思わせるだけの絶大な熱量によって、日が暮れた後も大地は燻り続けていた。

キョン「アイスでも買いに行くか」

夕飯を食べ終え、風呂から上がった俺は、夜風で身体を冷ますついでに最寄りのコンビニへ向かった。もっとも、夜風は生温かったが。

突っかけたサンダルをチャリチャリ鳴らして歩いていると、ようやくコンビニが見えてきた。
虫除けの送風機から吹き出す風のシャワーを浴びて入店する間際、店舗の前に備え付けられたベンチから不意に声をかけられた。

佐々木「やぁ、キョン。待ちくたびれたよ」

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2:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:01:13.76 ID:sSMsKf7k0
キョン「佐々木……何してるんだ?」

不意を突かれて固まる俺が尋ねると、中学の同級生である佐々木は悪戯が成功したことを喜ぶ子供のようにくつくつと喉を鳴らして答えた。

佐々木「ここで待っていれば、キミが来てくれる気がしてね。少々待たせて貰ったのさ」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:03:53.05 ID:sSMsKf7k0
佐々木「さて、何か言うことはあるかい?」

キョン「待たせて悪かったよ」

佐々木「よろしい。では店内に入るとしよう」
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:05:37.15 ID:sSMsKf7k0
キョン「奢ってやっても良かったんだがな」

佐々木「おや? あとからそんなことを言うのは卑怯だよ。是非会計前に進言して欲しかった」

卑怯も何も、真っ先にレジに向かったのは佐々木であり、俺は後を追う立場だった。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:09:15.51 ID:sSMsKf7k0
促されるままやって来た公園。
夜の公園は静かで、人の気配はない。
砂場の山だけが、日中の賑わいを残していた。

佐々木「ここが良い。さあ、座りたまえ」
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:11:01.45 ID:sSMsKf7k0
どうやらこの公園に来る以前に刺された様子。
となると、コンビニのベンチが現場だろう。
つまり、その原因は待たせたからに他ならず。

佐々木「責任を取るつもりはあるかい?」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:13:03.53 ID:sSMsKf7k0
さて、困ったことになったぞ。
任せろとは言ったものの、勝手がわからん。
どうしたものかと逡巡していると。

佐々木「気にすることはない。ひと思いにやってくれたまえ。カプッと、ほらほら早く」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:15:08.67 ID:sSMsKf7k0
キョン「あむっ」

佐々木「んっ」

俺は佐々木の二の腕にむしゃぶりついた。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:17:18.39 ID:sSMsKf7k0
キョン「わ、悪かったよ、佐々木」

佐々木「まあ、過ぎたことだ。それよりも、キョン。溶けたアイスで手がベタベタだよ?」

どうやらそこまで気にしてない様子。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:20:30.06 ID:sSMsKf7k0
佐々木「よし、綺麗になった」

ひとしきり舐め終えて、ようやく解放。
指がふやけちまったじゃないか。
出来るならば、佐々木が舐めてくれた自らの指をしゃぶりたかったが、流石に不可能だった。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:23:09.84 ID:sSMsKf7k0
佐々木「もし、僕が誰かに告白されたとして」

アイスを食い終えて、しばらく沈黙が続いた。
すると、ようやく涼しくなった夜風に乗って、佐々木の要領の得ないたとえ話が耳に届く。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:25:46.95 ID:sSMsKf7k0
佐々木「つまり、僕の推理としては結局、顔で選ばれたのだろうと、そう考えている」

いくらなんでも一方的な決めつけじゃないか?

佐々木「そうは言っても相手だって僕のことをよく知らずに決めつけている筈だよ。特に親しくしていたわけでもないし、ましてや昼食や塾でのひと時を共にしたわけでもないのだから」
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:28:05.68 ID:sSMsKf7k0
佐々木「話は変わるけど」

瞬時に佐々木は話を切り替えた。
そういうところが、頭の良さを表している。
俺だったら相当引きずるに違いない。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:30:13.92 ID:sSMsKf7k0
質問の意図はわからないが、とりあえず。

キョン「まずは声をかけるしかないだろ」

佐々木「なんて声をかけたらいいと思う?」
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:33:31.07 ID:sSMsKf7k0
佐々木「どうやら思うところがあるようだね」

キョン「ああ、いや……気にするな」

探るような視線から目を逸らす。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:35:53.48 ID:sSMsKf7k0
佐々木「さて、涼宮さんのことはともかく」

キョン「なんだよ」

くつくつと、おちょくるような含み笑い。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:37:28.76 ID:sSMsKf7k0
キョン「本能すら従えて、ねぇ」

ぼんやりとそらんじると、佐々木が補足する。

佐々木「例えば、朝比奈さんみたいな人のことを、キミは守ってあげたくなるだろう?」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:39:28.49 ID:sSMsKf7k0
キョン「ハルヒはどうなんだ?」

言われっぱなしは癪だ。
今度はこちらから聞いてやる。
すると佐々木はくっくくと笑って。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:41:33.92 ID:sSMsKf7k0
佐々木「さて、最後は僕についてだ」

俺の周囲の人間関係に対する攻撃が止んだ。
与太話もそろそろ終わりらしい。
柔らかな微笑のまま、佐々木は切り出した。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:43:23.40 ID:sSMsKf7k0
佐々木「でも、それは僕にとってだけでキミは新しい友人とよろしくやっていた。そのことを責めるつもりはない。でも、わかって欲しいんだ。僕はずっとずっと、待っていたのだと」

責めるつもりはないとは言えども。
だいぶ責任を感じてしまった。
たしかに、1年以上佐々木とはご無沙汰だった。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage]
2018/07/16(月) 22:45:42.24 ID:sSMsKf7k0
佐々木「朝比奈さんのような愛らしさや、長門さんのような危うさがあれば、キミだって放って置かなかった。きっと、気にかけてくれた」

まるで自己暗示だ。
佐々木はそう思い込んでいるらしい。
待っている間に、色々と考えたのだろう。
以下略 AAS



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