長富蓮実「ザ・ラストガール」
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12:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:18:39.76 ID:wXX+fiS7o
 
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一緒に地下の劇場から街へ出て、お話をしながらお母さんを探しました。
アイドルのお姉さんはすごく可愛らしくて優しくて、私の話を楽しそうに聞いてくれます。
私もアイドルが大好きなこと。よく歌を歌ったり、踊ったりしていること。
だけど、みんなと話が合わなくて、ちょっぴり寂しい思いをするときがあること。

「その気持ち、よぉ〜くわかります。 私も、メイド喫茶で働きながら頑張ってアイドルをやってますけど、
 その間に昔からのお友達は出世したり、結婚したり、うぅ……まあ、そうやってだんだんと疎遠になっちゃいましたから」
「そうなんですね」
「しかも、バイト先の後輩が……ある日どこかの撮影のエキストラに参加したらしいんですけど、その場でアイドル事務所にスカウトされちゃったりとか……
 まあ、そんな風に先を越されたり、色々焦りもあります」
「へぇ……」
「それに、アイドルの方でも……昔は一緒にデュオを組んでた人がいたんですけど、その人はアイドルを辞めちゃって」

人混みの中、雑音混じりのお姉さんの声は寂しげでした。

「ああいう小さな劇場から抜け出せないことに、いらいらしてたんですね、きっと。もう少しで報われるから、まだ一緒に頑張りましょうって止めたんですけど……だめでした」
「……」

お姉さんは続けます。

「とっても悔しかったです。 あの人の夢を叶えてあげられなかったことが……だから、自分だけでもまだまだアイドルを頑張って、
 もっと有名になった姿を見てもらって、もう一度あの人に勇気をあげたいんです」
「勇気?」
「……成功した私を見たら、あの人が一度は諦めたアイドルの夢を、もう一度追いかけてくれるようになるかも、って。 そんなことが叶ったら、とっても幸せなんですけどね」

まだ全然有名になれてないですけど、とお姉さんは恥ずかしげに付け加えて視線を私から正面へ戻します。



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