144:1[saga]
2019/06/17(月) 20:47:32.98 ID:eMFfSVab0
「今回僕は足でまといでした。
一条さんたちがいなければ市民にも被害が及んでいたかもしれない。
そう思うと僕に称賛なんてされる資格はありません。」
「そう卑下するな。キミはたった一人であかつき号の乗客を救った。立派なことだ。」
「それでも…全員救えたわけじゃありません…」
氷川は悔やむように呟いたが
実は救助されたあかつき号の乗客には一人だけ行方不明者がいた。
沢木哲也。五代があかつき号で知り合ったあの青年だ。
乗客たちの話によると哲也は嵐の中で海に放り出されてしまい行方知れずとのこと。
氷川は乗客たちに事故当時のことを問い質したが
何故か全員青ざめた顔でろくに話をしようともしない。
まるで何か恐ろしいモノでも目撃したかのような様子だった。
「俺たちは人間だ。すべてが万事うまくいくわけじゃない。」
「それでも…自分の力不足を否めません…もっと僕に力があれば…」
「そう思うならもっと精進しろ。
いずれキミも最前線に出て戦う時が来る。その時はみんなを助けられる警官になれ。」
一条からの励ましの言葉を受けて氷川は敬礼した後に本部への報告に戻った。
近いうちに氷川も自分と同じく第一線で活躍する警察官になるだろう。
彼ならきっと素晴らしい警察官になれる。そう期待しながら一条は氷川を見送った。
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