7: ◆TOYOUsnVr.[sage saga]
2019/04/03(水) 01:49:43.96 ID:EU7YFYJs0
見間違いではないか、とナンバープレートを確認すると、やはり私のよく知る車──私の担当プロデューサーが運転する社用車であるようだった。
駆け寄り、助手席の窓から車内を覗く。
すると、ロックが解除されたので、ドアに手をかけ、助手席へと乗り込んだ。
「お疲れ様。帰りに事務所に寄るって言ってたから」
「タクシーでよかったのに。でも嬉しいわ」
「それで、事務所でいいか」
「ええ。ありがとう」
「……気のせいならいいんだけど」
「?」
「元気ないな」
「気のせいじゃないかしら」
「んー。なら、いいんだけど」
胸をなでおろすような気持ちで、軽く息を吐く。
相変わらず目聡い。
しかしこればかりは彼に話したことで解決するはずもないのだから、相談しても詮無いことである。
ひとまずはそれ以上、追及されずに済んで良かったと思うことにしよう。
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