【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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9: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/14(金) 00:48:51.23 ID:DTY4fa360

「やっぱりアイドルって花形だろ? この業界に入った以上はさ、憧れだよなぁ」

 俺は「そうか」と頷くばかりだった。

 もう一人はどうなのだろう。 
 こちらは金髪グラサン、ピアスにヒョウ柄のシャツといういかにも「そっち」な見た目だが、彼なりのやり方で自分の仕事を進めている。
 ちなみに直属の上司とは折り合いが悪いようで、ハゲとかなんとか陰口を聞くのはこちらの役目だった。

「俺はそういうのダリィけどなぁ……。まあでも、担当すんならチチのでけェ女がいいわ」
「うっわ身も蓋も無いな! それ単にタクさんの好みじゃないか!」
「バッカわぁかってねーなぁヨネ、ファンってのはそういうとこから付くモンなの。ほれ、チチを笑う者はチチに泣くって言うだろ?」
「聞いたことないぞそんなことわざ!?」

 ぎゃいぎゃい飛ばし合うのもいつもの光景だ。
 ただ一つ「いつも」らしくないのは、俺の口数が少ないということ。
 話題が話題だから当然なのだが、そうなると――




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