小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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128: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:51:31.19 ID:nY0iWbpOO
「でも何回も繰り返される日々を過ごして、やっと分かりました。私たちはどんなに苦しく大変な明日が待っていたとしても、甘えちゃダメなんです。力強く進まなくちゃいけないんです。昨日よりも今日、今日よりも明日。もっともっと素敵な日にしたい。だからもう、ネヴァーランドは必要ありません。夢邪鬼さん……今まで、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました」
 もう一度、夢邪鬼に頭を下げる。歪んでしまった夢すらも慈しむように、感謝するように。本当に、この子は強いんだ。
「ああ、畜生。どうして君は……彼女と同じ顔で同じことを言うんだ……」
「えっ?」
 夢邪鬼の顔から憎悪が消える。泣きそうで、笑いそうな顔は例えるならば、自分を振った相手を応援するように見えた。そうか、あいつも……俺と同じだったんだな。初めて同じ顔のあいつの事が理解できた気がした。
「美穂を幸せにしたかったのは……嘘じゃないんだな」
「……夢ってのはさ、楽しいものなんだよ。辛い現世を忘れさせてくれる、刹那の幻想。俺は生まれた時から夢の世界の住人で……何人もの人に夢を見せてきた。……みんな歪んでおかしくなっちまったけどな」
 きっとあいつもそのつもりはなかったんだ。『夢』と『邪気』。どうあがいてもその2つは切り離すことができず、あいつは暴走してしまった。恐らく、俺たちには想像もつかないくらい長い時間――自分の存在意義に苦しんでいたんだ。そんな夢邪鬼にとって美穂は……最後の希望だったのだろうか。
「ったく、何わかった顔しているんだ。腹立つ」
「同じ顔だろ」
「違いない。なあ、プロデューサー。もう分かってるんだろ、この世界の終わらせ方」
「ああ。なんせ今日は、美穂の誕生日だからな。わざわざケーキまで用意しておいてさ」
「ふっ、どうだか。良いのか? 夢から醒めた先、人類が滅亡していたら? あんたらはアダムとイブだ。それなら楽しくみんなのいる夢を見続けた方がマシだ、違うかい?」



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