速水奏「人形の夢」
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41: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:43:17.90 ID:W4W9+UtG0
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大校舎1階・寮の連絡通路

玄関に向かっている途中で、誰かにぶつかりそうになった。

「ごめんなさい、衝突しなくてよかったわ。急いでいるの」私より少し高い位置にその生徒の顔があった。紅い瞳、それを隠すような金色の髪、それと病的に白い肌。日本人以外の血が流れているのかしら。見慣れない生徒だったけれど、挨拶をしている時じゃない。

「本当?それだけでいいの?」

何か言っていたけれど、無視して歩き出そうとしたら、腕を掴まれた。妙に冷たくて5本の指で掴まれていることが、鋭く伝わる。細い指と腕なのに、妙に力強かった。

「急いでるのだけれど……」その生徒の顔が思ったよりも近くにあったので、言葉が詰まる。紅い瞳が私の目を覗き込んでいる。彼女が何故かウィンクをした。

「ふーん……これでいっか。私は、小原・ケイト・スカーレット。よろしくね」

「嘘。適当すぎる偽名で時間を取らせないで」何故か、その人は小さく微笑んだ。掴んでいた腕の力は弱まっていた。

「正解、本当は黒埼ちとせ。その調子よ。急いでいるみたいだから、自己紹介は今度ね。ばいばい、嘘つきさん」

「意味がわからない」彼女の腕を振り払って、私は走り出す。



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