速水奏「人形の夢」
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48: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:50:30.19 ID:W4W9+UtG0
「アナタは人形よ。人形が受けるべき愛は、あなたには十分に受けているわ。そうでなかったら、そんなキレイな身なりでそこに座っていないわ。それに、西園寺さんのように今も丁寧に扱ってくれる人がいるのよ?これからも人は変わっても、受け継がれていくでしょうね、アナタもわかっているように」人形の視線が弱まったわ。

「アナタに夢は不相応よ。人形が見る夢ではないわ」もう一度視線が強くなる。西園寺さんもこちらを向いた。

「そんなこと、ありませんわ!」

「西園寺さんの声を荒げさせないで。アナタは人形なの、それでいいじゃない」私のお願いは聞いてくれなかった。西園寺さんの声は荒げたまま。

「望んではいけませんの!?誰にだって、願う権利はありますわ!」

「誰って、人形でしょう?人形に、その権利はないわ。代わりに、人形の権利があるの。人間では受けられない、素晴らしいものよ、それは。アナタにはわかるでしょう。もしかして、人形ですらない私がわかるのに、そんなことも、わからないの?」売り言葉には買い言葉。それから、あの言葉が吐き出されるのを待つ。

「違いますわ、貴方ならわかってくれると思ったのに」

「言ってるじゃない、勘違いよ。謝ったわ」

「私はただ……」

「ただ、何?私如きに期待してるの?」

「あの人が学園にいるなら、もう一度だけでもいいから、優しく、愛情を向けて欲しいだけですわ!」

「そう。あの人って、誰かしら?」

「柳清良さん、知ってるはずですわ。とぼけないでください」

言葉は吐き出された。人形をじっと見てから言葉を放つ、これで終わり。

「柳清良の幽霊はいないわ。『キヨラさん』はアナタが作ったニセモノよ」



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