速水奏「人形の夢」
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53: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:55:16.77 ID:W4W9+UtG0
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サイドストーリー・あの夜のこと

喫茶店ユリーズ・木犀浪学園前臨時店舗前

「ずらかるじぇ!美里、準備はオッケー?」
「オッケーですよぉ。車はどうですかぁ?」
「キッチンカー、行けます〜」
「キャンピングカーの方も!乗って!」
「私はキャンピングカーの方に乗りますねぇ」
「私もそうするじぇ。クラリスー、オッケー?」
「はい、キッチンカーの方に乗っております」

営業が終わったというのに、喫茶店が騒がしい。せっかく、来てあげたのに。

「全員準備よし。アタシも乗り込むじぇ……ん?そこにいるとあぶな、げぇ!」

「げぇ、って……久しぶりにあったら、お久しぶりでしょ?」

「おひさしぶりですわ、黒埼ちとせ様」

「わざとらしい。もっと上手にやって?」

「夜は冷えるんだから、さっさと寮に帰るじぇ」

「言いたいことがあるから、来たの。それぐらい言わせてくれない?」

「クラリスの身元を詐称したのは謝るじぇ」

「あはは。そんなに都合よくいるわけないわ。曾祖母が日本にいたなら、日本人の血が流れて無さそうな見た目にならないでしょ。それくらいはわかるし、聞きたいことじゃない」

「じゃあ、なんなのさ?」

「嘘つきさんに、何か暗示をかけた?」

「難しいタイプって美里が言ってたから、嘘に対して鈍感になってもらったじぇ」

「やっぱり、ちゃんと解いてあげないとダメよ。だから私が解いちゃった」

「こんなに急に事態が急転すると思わなかったんだじぇ……というか!」

「というか?」

「そもそも、ちとせがどうにかしなかったから出てきたんだじぇ!」

「責任転嫁?仕方ないでしょ、あの子が怖がっちゃって、私がいる間は出ても来てくれなかったのに」

「3年間も怯えてたから、卒業してないのに先走って暴走したんだじぇ。そこまでに、何でしなかったのさ?」

「悪いものじゃないから、だけど?」

「悪いものじゃなくても、対処は必要だじぇ。わかる?」

「つまり、何が言いたいの?」

「体に不安があるのは重々承知。それでも、あそこにいるなら、やるべきことはやって」

「わかってる」

そんなの、わかってる。問題が起こってそうだから、代わりに来てくれたのもわかってる。



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