1:21756utrillo[sage saga]
2020/02/08(土) 19:11:19.24 ID:RvB9VQpu0
「視覚障害、ですか?」
耳を疑った。仕掛け人さまは、冷静な同じ調子の声で説明を続けた。
「『障害』という言葉が適切かどうかは、現時点では判断できません」
普段と同じような中立的に響く敬語が、
混乱する私を落ち着かせる唯一の発話であることを理解しているのだ。
「紬さんは、大丈夫なのでしょうか」
私は思わず尋ねたが、
一体何に対して『大丈夫』かを問うているのか、自分でもよく分かっていなかった。
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2: ◆u/54BSBlPw[sage saga]
2020/02/08(土) 19:25:39.53 ID:RvB9VQpu0
「日常生活に困難が生じるのは間違いないでしょう。
しかし、私たちとは違った、何か特別なものを見ることもできるようです」
「特別なものって、何ですか?」
3: ◆u/54BSBlPw[sage saga]
2020/02/08(土) 19:27:18.73 ID:RvB9VQpu0
「何も分かりません。紬さんはどうなっているのですか」
「現時点で分かっていることは他にありません。
今こうして僕がスチュアートさんに説明しているのも、白石さんたっての希望があったからです」
4: ◆u/54BSBlPw[sage saga]
2020/02/08(土) 19:28:16.97 ID:RvB9VQpu0
ひとつ確かなことは、紬さんは倒れてから2日も経たないうちに、
とてつもなく重い不幸を抱えながら、他人を、この私を、慮って行動したのだ。
その配慮が、心身の余裕から来るものだと信じたかった。
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