34: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 01:21:57.13 ID:CDwt0mRk0
「ごめんね。ごめんなさい。Pサマ、ぼく、アイドルやりたくない。やれない。やれないよぅ。もうやだ。こんな思いするなら、アイドルなんてやらなきゃよかった。Pサマのスカウト、断ればよかった」
顔が熱い。視界が歪む。
泣きたくなんてないのに、悲しくも悔しくもないのに、そのはずなのに、涙が零れて止まらない。ぽろぽろぽろぽろゲロへと落ちる。
「そんなことを言うな」
それなのに、なんでか、Pサマのほうが泣きそうな声をしていた。
「そんなことを言わないでくれ」
不意に柔らかさと硬さがぼくの上半身を包んで、一拍遅れて煙草の匂い。
抱きしめられたんだとすぐにわかった。Pサマは、ゲロまみれになることも厭わずに、よくわかんないけれど、ぼくをすっぽり覆い隠すように抱きしめていた。
普段だったら「ぎゃあ、犯される!」だなんて冗談交じりに叫んでいたかもしれない。それか、あまりの変貌ぶりに言葉を失うか。でもいまのPサマは違った。大の大人のはずなのに、怖い夢を見てお母さんに縋りつく赤ちゃんに見えて。
だからぼくも、自然にPサマの背中へと、腕を回すことができる。
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