【鬼滅の刃】彼女に手向の花束を【ぎゆしの】
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7:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:11:33.77 ID:73mvxtQeO
「やめてください!どうしてそんなことするんですか!?」
「…本当にわからないのか?」
「はぁ!?」

 呆れてものも言えないとばかりの目線で見つめてくる義勇。その自信はどこから来るのだろうか。


8:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:12:11.55 ID:73mvxtQeO
「おい、冨岡ァ!こっちは片付いたぞォ!」
「半々羽織ぃ!こっちも終わった!」
「か、風柱様!?伊之助さん!?」

 気づけば風柱である不死川実弥、カナヲと同期である嘴平伊之助も、どうやら義勇と同じくしのぶに手向けられた花束を捨てて回っていたようだ。


9:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:13:07.65 ID:73mvxtQeO
「どうして…どうしてそんなことを…」
「あ?お前、花見てねぇのかよ?」
「え?」

 伊之助に言われて、アオイは初めて捨てられてぐちゃぐちゃになった花に目を向ける。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:13:41.68 ID:73mvxtQeO
「あっ…」

 捨てられていたのはどれもこれも、藤の花だった。


11:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:14:12.56 ID:73mvxtQeO
「酷い…」
「藤の花はしのぶ様が好きだった花なのに…」
「屋敷にも植えていらしたのに…」

 違う、違う、違う、違う、確かにしのぶ様は藤の花を屋敷に植えていた。そして、手に持っていることもよく見られた。けどもそれは好きだったからじゃない。全ては鬼を[ピーーー]ため。自分の身体を毒に変えるために、育てていただけなのだ。


12:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:14:42.91 ID:73mvxtQeO
「なぁ、アオコ、お前ならわかるだろ?何も…向こうでまで、藤の花を見ることねぇじゃねぇか…」
「伊之助さん…」

 死後の世界なんて信じていなかった伊之助が、こんな発言をするようになったのも、全てはしのぶ様との関わりからだ。


13:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:15:17.64 ID:73mvxtQeO
「…あいつらは…せめて向こうでは幸せになってほしいよなァ…」

 あいつ"ら"というのは、この屋敷の先代の主人のあの人のことだろうか。この人もまた、彼女に救われた一人なのだろう。


14:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:16:01.07 ID:73mvxtQeO
「なぁ、胡蝶…お前はいつも他人のことばかりで、自分のことは二の次だったな…」

 義勇は空を見上げる。ここまで優しい目をしている義勇を、アオイは今まで見たことがなかった。


15:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:16:45.31 ID:73mvxtQeO
「次に生まれ変わって…もしもまた出会えたら…」

 聞こえるか聞こえないかの声で、呟く。それはまるでしのぶ様にだけ聞こえればいいと、そう思わせるような小さな声で…

「今度は、好きな花くらい教えてくれ…」
以下略 AAS



16:名無しNIPPER
2020/04/07(火) 22:17:12.89 ID:73mvxtQeO
それから何百年後…どこかの町の、どこかの学校で

「どうしたんですか?冨岡先生?え?好きなお花?」

終わり


17:名無しNIPPER[sage]
2020/04/08(水) 15:00:36.83 ID:YFXv5EoYO



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