【かぐや様は告らせたい】四宮雲鷹と早坂母の話-SS速報VIP

【かぐや様は告らせたい】四宮雲鷹と早坂母の話

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2: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:07:14.61 ID:oChBcT7K0

　息を吐く。傘を閉じる。
　きゅっ、ぎゅ、と皮靴の底が大理石の床を鳴らす。夕方までは晴れていたのに、一時間ほど前から土砂降りだ。日付の変わる前には止むらしいが帰りには間に合わないだろう。
　扉を開くと静かなジャズが耳に届いた。眼に痛くならない程度の琥珀色の灯りが緋毛氈を照らしている。

以下略 AAS

3: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:08:11.23 ID:oChBcT7K0

「ドライマティーニです、どうぞ」

　カクテルのサーブは確かな所作を伴っていて、それだけで満足感がある。透明なグラスの中に、透明な液体。そしてアクセントのオリーブには銀色の楊枝が刺さっている。
　マティーニを口に含む。涼感と同時に独特の灼熱感。それでいてそのどちらもが後にひかない。そしてオリーブをほんの僅かに齧る。

以下略 AAS

4: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:10:17.08 ID:oChBcT7K0

「雲鷹さまは短時間でも雨に濡れるつもりはないでしょう。たとえ傘があったとしても、雨の中を自分の足で行くなどしないはずです。だからタクシーを使ったのは見当がつきました」

「……それで」

以下略 AAS

5: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:13:01.86 ID:oChBcT7K0

　俺は早坂を一瞥すべきかどうか、判断にあぐねていた。さて、どうしたものか。頭はいつものように冷静で、けれど、どこかが猛烈に不快だった。こんな、俺のようなクズにも心の柔らかい部分があるのだとして、そこが執拗に針で突き刺されているような錯覚が確かにあった。
　あるいは、錯覚ではないのかもしれない。

　早坂の頼んだマティーニがやってくる。それに一口つけて、

以下略 AAS

6: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:13:29.45 ID:oChBcT7K0

「……早坂」

「なんでしょう」

以下略 AAS

7: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:14:46.69 ID:oChBcT7K0

「……」

「……」

以下略 AAS

8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:16:26.91 ID:oChBcT7K0

　昼間に見た妹のアホ面と、その従者の姿が脳裏を過った。血は争えない。全てとは言わないまでも、大半は再生産される。容姿も、性格も。妾胎と言えど妹は妹だし、鼠の子は鼠であるはずだ。
　はずだった。

「もしっ、」

以下略 AAS

9: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:17:36.52 ID:oChBcT7K0

「……忘れていました」

「なにをだ」

以下略 AAS

10: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/05/06(水) 13:19:51.36 ID:oChBcT7K0
――――――――――――――――
おしまい。

苦しい話は心が苦しいのに心が求める。

11:名無しNIPPER[sage]
2020/05/08(金) 08:51:12.42 ID:ViMfqDrAO
おつ

12:名無しNIPPER
2020/05/08(金) 17:30:45.61 ID:Ni7vvRX/0
タイムリーなSSだ
乙でした

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