6: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 16:59:28.74 ID:5z9OpdEU0
(プライベートでセンザキに来るのは初めてだけど…まずは、あのときの酒場に行ってみようかな…オークさん達にはちゃんとお礼できてなかったし…紅さんにも、会えるかもしれないし…)
1年前はおっかなびっくり歩いた道を、迷いなく進んでいくまり。
“本の魔人事件”、そしてこの1年で積んだ修練の数々が、確実に彼女を成長させていることが見て取れた。
7: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:00:13.09 ID:5z9OpdEU0
――
――――
――――――
8: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:01:14.33 ID:5z9OpdEU0
「あれ…?」
酒場への道を急ぐまりの目に、見慣れない光景が飛び込んできた。
荷台に屋根と調理場を設け、暖簾を下げた古風なリヤカー…。今や珍しい、移動式の屋台だ。
9: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:02:00.20 ID:5z9OpdEU0
どうやら店主らしい男が何度も頭を下げ、客がそんなことにはおかまいなしで怒鳴りつけているらしい。
「だから酒を出せってんだろうが、えーーーつ!?」
「すみませんが、何度も申し上げました通り今日はもう店じまいでして…」
10: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:02:35.37 ID:5z9OpdEU0
ああ…あのお客さん酔いすぎだよ…全然お店の人の話聞いてないし…)
(そういえば、去年魔人さんに出会った時もこんなシチュエーションだったなあ…)
少し懐かしい気持ちが沸くが、ともかく黙って見過ごすことはできない。
11: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:03:30.09 ID:5z9OpdEU0
「あのぅ…そのくらいにしませんか…?」
「おーん?なんだあテメェ…?」
「お店の人、今日はもう閉店だって言ってるじゃないですか…別にお客さんのことがどうとかじゃなくて…とりあえずまずは落ち着いて…」
12: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:04:29.00 ID:5z9OpdEU0
「はうっ」
酔っ払いがまりを突き飛ばす。
不意を突かれたまりが後ろ向きに倒れる。
13: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:05:47.24 ID:5z9OpdEU0
――かに思われたが、何者かがその背中を受け止め、優しく声をかけた。
「まったく、相変わらず揉め事に首を突っ込むのが好きなようだな、君は」
それは、まりがよく知った声であった。
14: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:06:25.50 ID:5z9OpdEU0
「紅さん!」
「久しぶりだな、まり。春の任務以来か」
まりを支えた女性――心願寺紅がまりに微笑みかけた。
15: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:07:16.94 ID:5z9OpdEU0
「すまないが、店主はこの後私と約束があるんだ。今日は別の店に行ってくれないか」
「何度も言わせるなってんだろ!俺は九龍会だぞ!?俺が酒を出せって言ったら出すんだよえーっ!」
「九龍会?…ああ、お前あそこの構成員なのか。あのシフォンとかいう女のいる…」
181Res/57.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20