【艦これ】19とアイスを食べるだけの話
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2: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/11(火) 23:22:06.13 ID:AVuudPRF0

「……なにやってるの?」

 イクがアイスキャンディを齧りながら部屋の入口に立っていた。あれほどノックをしろと――いや、空けっ放しにしていたのは俺だ。空気の通りをよくするために。
 溶けたアイスが液体となってぽた、ぽた、廊下に一滴ずつ染みていく。イクは指に、手首に伝ったそれを舌で舐めとった。なんとも扇情的な光景であったが、幸か不幸か頭は茹っている。下半身は反応しない。

「あちぃ」

「うんうん、わかる。ほんっと、あっついのね」

「茹だるぜぇ」

「熱中症にだけは気を付けてよ?」

「おう、おう」

 スチールデスクはひんやりとしていて気持ちがいいものの、すぐに人肌でぬるまってしまう。少しだけ体を動かして、まだ仄かにでもひんやりとした場所を探す。
 そんな俺の姿を見て、イクはぼそりと「毒虫みたい」と呟いた。グレゴール・ザムザの名前くらいは知ってはいるが、毒虫そのものにはとんと見識が及ばなかった。




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