高垣楓「あなたがいない」
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10: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/13(日) 22:52:36.62 ID:kh3F9e+N0

「私とちひろ君が病院に着いた時にはもう、彼は、亡くなっていました。そして今、スタッフにはその事実を伝えました」
「……」
「ここからが、秘密にしていただきたいことです……ほどなくして、警察が病院に来まして、私とちひろ君、そして彼のお姉さんが事情聴取を受けました」
「えっ?」

 私は声を上げた。
 警察? なぜ?

「救命センターの先生がおっしゃっていました。彼の死因は、一酸化炭素による中毒死。車の中で、発見されたそうです」
「……」
「彼の持ち物に、遺書らしきものがあったそうです。警察は、自死の可能性が高いけれど、念のためにと私たちに……」

 私も部長さんも、声が出ない。声にならない。

『自死』

 その単語が、私を苛む。手が震え、視線が定まらなかった。




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