高垣楓「あなたがいない」
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8: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/13(日) 22:50:23.80 ID:kh3F9e+N0

 しばらくして、アイドルも事務所に顔を出し始める。
 スタッフをやりくりして、各々の仕事先へ向かわせる。
 私は幸い、今日はレッスンだけ。社長さんが戻るまではとお手伝いをするけれど、実際は違う。
 レッスンをする気になれないでいたのだ。
 なにかをしていないと、ひどく落ち着かなかった。

 そして、社長さんが戻ってくる。ちひろさんは、一緒にいない。
 事務所内にいるスタッフに招集をかけ、社長室に入っていく。私は電話番の名目で、同席を遠慮した。
 不思議と、電話はかかってこなかった。私はカールコードを手でもてあそぶ。
 社長室ではどんな話をしているのだろう。
 気にはなるけれど、おそらく私たちアイドルが聞いていいことではないだろう。それが想像されるだけに、余計に気が重かった。

 そして、みな重苦しい表情を浮かべ、社長室から出てくる。
 スタッフのひとりが私に「社長がお呼びです」と声をかけた。
 なんだろう?
 不安な気持ちを抱えながら、私は社長室のドアをノックした。




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