ヴィクトリカ「久城……私も、君のことが大切だ」久城一弥「ヴィクトリカ……」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/10/06(火) 22:34:54.42 ID:e55HzmPuO
「うーむ……」

ここは新大陸。陽は沈み、辺りは真っ暗。
ニューヨークの街にひっそりと建つ古びたアパルトマンの一室にて、耳を澄ますと、何やら1匹の小さな仔狼が唸っているようだ。

「久城の奴め……どういうつもりだ?」

人語を口にするこの小さな仔狼の名は、ヴィクトリカ。新大陸に渡る際に姓は捨てたので、ただのヴィクトリカである。

「気持ち良さそうに寝息を立ておって」

端正に整った顔立ちはビスクドールを思わせるほどに人間離れしており、しかしその声は枯れていて、まるで老婆が話しているようにも聞こえる。無論、彼女はうら若き乙女だ。

ヴィクトリカは長い睫毛を重たそうにパサパサ瞬きして隣で寝息を立てる青年を見つめていた。彼は彼女のパートナー、久城一弥だ。

「ひとの気も知らずに……ぐーすかと」
「むにゃ……ふふっ。ヴィクトリカったらグリンピースが鼻の穴に入ってるよ。いくら嫌いだからってそんなところに入れたら……」

あられもない一弥の寝言に、ピキリと。
陶磁器のようなヴィクトリカのこめかみに血管が浮き出て、丸くて愛らしい額を縦断するように、深い深いシワが眉間に寄った。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/10/06(火) 22:37:59.54 ID:e55HzmPuO
「ほ、ほほう。この男……随分と愉快な夢を見ているらしい。そうか。それは何よりだ」

ヴィクトリカはとても頭が良い。
そんな彼女は一弥の寝言によって自分が夢の中でどんな辱めを受けているか理解した。
そしてヴィクトリカとても短気であった。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/10/06(火) 22:40:24.81 ID:e55HzmPuO
申し訳ありません!
グリンピースではなく、正しくはグリーンピースでした。
確認不足ですみません。

以下、続きです。


4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/10/06(火) 22:44:08.40 ID:e55HzmPuO
「どうだ? 苦しいかね、久城。君は悔い改めねばならん。この私を夢の中で穢したことはこの罰で許してやってもいい。そんなことより、この私が隣に寝ているのにすやすや先に眠るなど、たとえ神が許したとしてもこの私が……」
「くしゅんっ!」
「あいたっ!?」

説教の最中に盛大なくしゃみをかました一弥の鼻に詰まったグリーンピースは当然吹き飛び、恐ろしい速度でヴィクトリカの丸い額に直撃した。瞠目した彼女の目に涙が溜まる。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/10/06(火) 22:45:59.65 ID:e55HzmPuO
「ううっ……久城、酷い。久城、嫌い」
「はいはい。ごめんね。でも傍に居るよ」

ヴィクトリカの罵声もなんのその。
久城一弥はやんわりと受け流した。
以下略 AAS



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