双葉杏「コーヒーが飲みたい」-SS速報VIP

双葉杏「コーヒーが飲みたい」

↓ 1- 覧 板 20

2: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:43:01.83 ID:rtTJ1a3X0
どこかの文学者のせいで月が綺麗と言い難くなったけど、なんで星じゃなくて月なんだろう。
星じゃダメだったのかな。

「いや、あれ俗説だっけ」

以下略 AAS

3: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:44:19.77 ID:rtTJ1a3X0
窓からは明かりが漏れ、入り口には「OPEN」と立札が掛かっている。
コーヒーなんて好きじゃないし、いつもなら入る気はしない。だけどその店から香るコーヒーの匂いが
凄く心地よくて、思わず店の扉を開いてしまった。
内装は煉瓦造りで、大きな書棚が並んでいる。クラシックが静かに流れ、客層もそこそこ年配の
落ち着いた人が多い。まさにアンティークといった感じの喫茶店だ。文香ちゃんが好きそう、なんて思った。

以下略 AAS

4: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:45:55.37 ID:rtTJ1a3X0
「ご注文は？」

マスターが尋ねる。

「これで」

以下略 AAS

5: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:46:43.20 ID:rtTJ1a3X0
「お待たせしました」

マスターがカップを杏の前に置く。
コーヒーから漂う香りは、やっぱり心地良くて、暖かくて、辛い事を忘れさせてくれる。
取っ手を使わず、カップを両手で掴んだ。

以下略 AAS

6: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:47:58.86 ID:rtTJ1a3X0
「………」

おかしなところはいくつかあった。
街に誰もいないクリスマスイブなんてありえない。
泣いていた理由を覚えていないなんてありえない。

以下略 AAS

7: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:50:51.35 ID:rtTJ1a3X0
12月24日、クリスマスイブ。そしてオフ。
寒空の中笑顔とプレゼントを振りまいているサンタさんに感謝して
二度寝しようかと思ったけど、なんとなくそんな気分になれなかった。
布団の上で上半身を起こしたまましばらくボーっとする。
ボーっとしていると、嫌な事が頭に浮かぶ。

以下略 AAS

8: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:51:57.28 ID:rtTJ1a3X0
そんな事を考えながら、家を出た。

「さっぶ」
防寒はしっかりしてきたけど、それでも寒いものは寒い。
マフラーを口に押し当て、大きく息を吐く。

以下略 AAS

9: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:53:24.58 ID:rtTJ1a3X0
街はやっぱりクリスマス一色だ。
電飾が巻き付いたツリーが自己主張激しく光ってるし、
女のサンタがティッシュを配ってる。ミニスカで。うへー、寒いのにご苦労様。
後は言うまでもなく、辺り一面見渡す限りのカップル、カップル。
いいねいいね、今日一日で少子化問題をずばーんと解決してくれたまえ。

以下略 AAS

10: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:54:51.00 ID:rtTJ1a3X0
来た道を戻っていると、ふと、ちょっとした疑問が頭に浮かんだ。
そもそもなんでコーヒーが飲みたくなったんだろう。
それはもちろん、夢に見たコーヒーが凄く美味しそうだったからだ。
だけど、じゃあ何で夢にコーヒーを見たんだろう。
理由なんてないかもしれないけど、何かずっと引っかかっていた。

以下略 AAS

11: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/12/24(木) 23:56:04.51 ID:rtTJ1a3X0
気付けば雪が降っていた。
通行人が、来るホワイトクリスマスに声を出して喜んでいる。
恋人と手を繋ぎながら、喜んでいる。
「いいなあ」
そう小さく呟いた。

22Res/14.77 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ