みんな天使になってどっか飛んで行った
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13:名無しNIPPER[saga]
2021/02/27(土) 22:48:15.47 ID:2kLflUvfO

 ギターの音色は途切れ途切れ、怪しい音がすぐ混入して、
 歌の音程はすぐどっかに飛んで行ってしまいそうで、
 まるでなんだか、死にかけた野良犬のうめき声みたいな演奏だった。

 僕はクロスバイクを停めた。
 女性は僕のことは意に介さず、
 その音楽と呼べるのか怪しい歌を歌い続けた。
 僕はそれを、ぼんやり突っ立って聴いていた。

 ややしてから、彼女は唐突に演奏を止めた。
 いや、本当は唐突なんかじゃなくて、
 ちゃんと最後まで歌いきっていたのかもしれない。
 僕には曲の展開がさっぱり掴めていなかったってだけでさ。

「ムズいなあ」

 そんなことを呟いて、彼女はピックを投げ捨てた。
 ポイ捨てだ。環境破壊だ。
 それから顔を上げて、いま初めて僕の存在に気付いたような、そんな顔をした。



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