あの日出会ったメイドに自分の人生を歩く勇気をもらいました
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1:名無しNIPPER
2021/09/14(火) 23:08:48.81 ID:rGyABqrXO
彼女との出会いは運命的なんてものではなくて、むしろ安っぽくてどこにでもあるような出来事だった。それでもそれを運命だったと思いたいのは今となってはきっと僕だけなのだろうけど、時折思い出さずにはいられない。

その日は中学時代にはまっていた懐かしい野球ゲームを久しぶりにやりたくなって、大阪は日本橋のオタロードに足を運んでいた。二等身のキャラクターを育成するモードが人気の、あのゲーム。

大学進学と合わせて大阪で一人暮らしを始めて三年。日本橋に来たのはこれが二度目だった。初めて来たのはなんば付近を散策していた時に入り込んでしまって、その時はもっと陰気な印象だったのに、今日は何だかもっと明るい雰囲気に感じられた。

新年を迎えたばかりというのもあるのだろうけれど、道に立って客引きをしている女の子たちが巫女の衣装だという影響もあるのかもしれない。以前はメイド服を着た女の子が立っていたはずだ。彼女たちは面倒くさそうに道路に立ってスマホを触っていたり、或は客になりそうなオタクに声をかけて営業スマイルを浮かべたりしている。大学一年の頃に、地元から関東の大学に進学した友人と歩いた秋葉原をふと思い出した。

そんな時、イヤホンをはめてゲームショップに向かう僕に声をかけた女の子がいた。

「お兄さん、リフレどうですか?」

いつもなら無視して通り過ぎてしまうものだ。軽い会釈でもして、歩調を速めて行く。

それでもそこで立ち止まってしまったのはもしかしたら運命だったのかもしれないし、或は前月に好きだった彼女に振られた腹いせだったのかもしれない。理由なんて探せばいくらでも後づけることができるし、偶然だと言ってしまえばそれまでだ。大事なのは、僕がそこで足を止めて、イヤホンを外してしまったということだ。

「リフレって、分かりますか?」

話を聞く意思があると認識したらしい彼女はそのまま僕の前に立って、近くにある看板を指差した。その店に案内したい、ということらしい。

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2:名無しNIPPER
2021/09/14(火) 23:09:46.80 ID:rGyABqrXO
「えっと、いや、分かんないです」

秋葉原を歩いたときにメイドカフェに行ったことはあるが、リフレという存在は初めて聞いた。看板の前に誘導されて説明を受けることになる。

「ハンドコースとかフットコースとかあって、要するにマッサージ屋さんなんですけど。初めてのお帰りだったら、お得なコースもあります」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER
2021/09/14(火) 23:10:47.14 ID:rGyABqrXO
少々お待ちください、と看板横の入り口から店の中に入った彼女は、すぐに扉を開けて「大丈夫です!」と僕を手招きした。

初めての世界に緊張しながら店内に足を運ぶと、入り口に置かれた木製のスツールに何人かのお客さんらしき男性が腰掛けてお茶を飲んでいた。そのうちの空いている一席に座るように指示をして彼女はお店の奥の方に進んで行ってしまった。とりあえず言われた通り、僕はリュックを下ろして腰掛ける。

入ってすぐのその場所がレジやら待ち合いスペースになっているらしい。レジに向き合っている女の子もいれば、お客さんと話している女の子もいた。お茶を飲んでる人たちは何なんだろうと思いつつもキョロキョロするのも恥ずかしくて、俯き気味に座っていると、レジに立っていた女の子に声をかけられた。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER
2021/09/14(火) 23:11:30.17 ID:rGyABqrXO
ハンドコースと肩のマッサージを合わせたものだ、ということはそこで伝えられた。最近、大学のレポートに追われてパソコン作業が続き、肩が凝っていたのでそれで了承した。

「女の子の指名とかできるんですけど、どうしますか?」

そう言われて、じゃあお願いしますと言いたい気持ちになりつつも、恥ずかしい気持ちがそれより勝った。誰とも話したことがないこの状況で、「じゃあお願いします」と言ったら顔が好みですと告白しているような気がして、それはとても耐えられないくらい恥ずかしく感じられた。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER
2021/09/18(土) 00:29:35.19 ID:megjFbtHO
「それでは、初めてのお帰りの方向けのコースなので、まずは手のマッサージから始めますね」
 カーディガンの袖を肘まで捲るように言われてそれに従う。オイルとクリームのどちらかを選べと言われたので、あまり分からないままクリームを選ぶと、失礼しますと口にして彼女はクリームを広げた手で僕に触れた。
 悪いことをしているわけじゃないんだろうけど、何となくの後ろめたさが残った。
「ご主人様は、何で今日お帰りになったんですか?」
「ああ、いや、買い物しに着たら皆巫女さんで可愛いなぁって。和装が好きなんです、僕」
以下略 AAS



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