速水奏「文、奏でる」【モバマスSS】
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22:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 21:13:26.50 ID:u50g9+A20




 文香は、上手くなるのは万里の道だなんて言葉を使った。

 でもそれは大げさだった。

 いや、それどころか千里の道ですら、誇大広告になってしまう。


 文香はあの日から、確実になにかが変わったようだった。最初の1週間ほどは苦戦に苦戦を強いられていたのが傍目からも分かったが、どこかでコツをつかんだようだ。

 それからは、目を瞠るほど文香は上達していって、トレーナーさんやプロデューサーさんが驚く程。

 もちろん、文香だけではない。

 私だって、文香に負けない勢いで、上達を続けていった。



 そして。





 ひりひりと肌に刺さるような暑さの日だった。
 
 いつものように事務所に来て、エレベーターホールで待っていると、掲示エリアに貼られたポスターに気付いた。


 私のポスターだった。

 その三つ隣には、文香のポスターも。


 気づけば、私達はアイドルとしてデビューしていた。

 文香は努力が認められ、プロデューサーさんが公言していた通りにデビューが早まり、私と同時期となった。

 仕事も、ポツポツとだけど貰うようになっていた。

 ポスターの中の私は笑みを――カメラマンさんや、プロデューサーさんが妖艶だと評した笑みを――浮かべて、気取ったポーズをとっていた。




 そんな姿は悪くなくて、同時に何処か滑稽だった。







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