速水奏「文、奏でる」【モバマスSS】
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74:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 23:20:27.51 ID:u50g9+A20


 急いで着替えて、また振り付けのチェックに行こうとしたけど、タイムアウトだった。

 舞台の裏に、私は足を向けた。今は曲ではなく、幕間のトークの時間。舞台の上では、アイドルたちが和気あいあいとした会話を続けていた。

 彼らの様子を写したモニターを横目に、プロデューサーから指示を受ける。


「難しいことはなし。暗転させたら舞台に上がってもらう。中央で音楽を始める。後は歌うだけだ。照明さんもいくらかアドリブでやってくれるだろうけど、期待はするなよ」

「分かってる」


 スタッフさんから、セリで待機してほしいとの指示がでる。


「行ってきな、奏」

「ええ……行ってくるわ、プロデューサー」


 舞台照明が消えるのがわかる、セリは音もなくゆっくりと上がっていく。


 薄闇の広い舞台に、私は一人登り立った。

 

 いえ、違う。

 一人だけど、一人じゃない。





 自分の鼻に人差し指を触れさせて、そして構えをとった。







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