式波・アスカ・ラングレー「Hallo / Wie geht's?」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2021/12/11(土) 23:00:55.93 ID:jv3ea82OO
「男でしょ? 職場で僕なんて言わないの」
「じゃあ、俺? ちょっと照れるな……」
「あは。似合わないわね。性別交換する?」

自然に笑みが溢れた。ほっぺが冷たいけど繋いだ手は温かい。ありがとうって云いたい。

「ありがとう、アスカ」
「あんたが言ってどうすんのよ……」

云えないのはシンジのせいだろうか。違う。

「……Danke」
「またそれ? どういう意味?」
「それは、その……あ、あ……」

喉の奥まで出かかった言葉を、飲み込んで。

「あ! そう言えばおしっこするの忘れた!」
「フハッ!」

口をついて出るのは嘘ばっか。言葉の浪費。

「Dankeってのはドイツ語でおしっこよ」
「フハハハハハハハハハハハッ!!!!」

生きてくだけで精一杯の私たちは、人のことまで考える余裕はないかも知れないけれど、それでも隣の人だけには嗤っていて欲しい。

「ふぅ……じゃあ、僕はこっちだから」
「シンジ」

お互いの職場に向かうために別れる間際、素直に名前を呼べた私はそっと頬にキスした。

「愛してるわ。頑張んなさい」
「……うん。行ってくる」

ほんとはあんたの役目だけど。まあいいか。
口に出さなければ伝わらない。頑張れない。
あんたは毎朝私のネジを巻いてくれるから。
シンジが頑張った分の給料は、私が払おう。


【ハロ / フハッワユ】


FIN


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