3:名無しNIPPER[sage saga]
2023/05/21(日) 23:09:40.31 ID:KwuJkw0kO
「さて、キョン」
ふと立ち止まって佐々木が本題へと入った。
「少し相談に乗ってくれ」
「相談?」
「うん。ああ、そう時間を取らせるつもりはないさ。もちろん知恵を借りようってわけじゃない。ただキミに僕の話を聞いて欲しい」
知恵を貸そうにも佐々木のほうが賢いしな。
「僕はこのところ元気がないらしくてね。それは自分でも自覚がある。今日こうして実際に僕と顔を合わせたキミにはピンと来ないかも知れないが、言うならば、そうだな……僕は五月病みたいなものを患っているんだよ」
五月病。たしかにこの時期は気怠いものだ。
「少なくとも中学の頃はこんなことはなかったと記憶している。そして中学時代の自分と高校生になった今の自分とを比較した時、相違点がキミの存在くらいしか思い付かなかった。そこで僕の五月病に対してキミが特効薬になると思ってこうして会いに来たわけだ」
中学の佐々木と高校の佐々木。一見すると何も変わったようには見えない。髪の長さも身長も記憶のままだし何よりその表情だって。
「とても五月病には見えないけどな」
「これでも学校を無断欠席したのだけどね」
くくっとシニカルに笑う佐々木は元気そうだ。
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