過去ログ - 10031号の、ささやかな望み
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/04/16(土) 23:57:39.20 ID:QJzJFNXt0

やがて額に細い指が数本、優しく添えられる。
熱を帯びていた体にひんやりと心地良い。
いつの間にか、先ほどまで脳の芯を蝕んでいた焼け付くような痛みが無くなっている。


今にして思えば、ネットワーク内で共有される情報の中にも。
一方通行が表情を変えた事は一度たりとも無かった気がする。10029号は瞑目した闇の中で、ふとそんなことを考えた。
実験開始、実験中、実験後、脳裏を駆け巡るあらゆる一方通行の表情は常に少しだけ眉間に皺を寄せた仏頂面だ。
それ以外の表情を、自分達は見たことがない。自分自身の表情の変化を見たことが無いのと同じように。


そういえば。
ただ一度だけ、彼が表情を歪めているのを見た記憶があった。
いや、歪めていたわけではない。彼の顔から、彼の何かが軋んでいるのを感じただけだ。
あれは確か、第一次実




それを最期にミサカ10029号の思考は永遠に停止した。
いつも通りに、一方通行の表情を見ることは終ぞ無かった。




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