過去ログ - パイルドライバー
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2011/06/26(日) 16:05:23.08 ID:BD9wf7ABo
――堤防に並んで座り、二人はカイトを見上げた。
太陽はもう真上まで来ていて影を短くしていた。
ぬるくなったスポーツドリンクを代わる代わる飲んで喉を鳴らし、空っぽになったペットボトル越しに海を見ると、容器の中で波が動いた。

「いいなぁ。私も凧あげてみたい」
「じゃあ合宿の時に持っていきましょう」
「うん」
「普通はお正月にやるんですけどね」
「私、やったことない」
「私も二、三回くらいしかやったことないですけど」
「あ、ねえ梓ちゃん。今日ずいぶん日に当たったけど平気?」
「え?」
「焼けて黒くなっちゃうんじゃない?」
「あっ!……もういいです、手遅れです」
ふふ、と笑って、紬は手を広げて仰向けになった。
「汚れちゃいますよ、髪」
「いいの。もう塩できしきしになっちゃったから、私も手遅れだもん」
そう言うと、紬はまたシャララと歌いだした。
梓はカイトを見上げたまま、紬に合わせて口の中で小さく歌ってみたがまるで別の歌に聴こえてしまいそうなのですぐにやめた。
きっとはしゃぎ過ぎからだ、と梓は思った。


首が疲れてきた梓は足元に視線を落とした。
サンダルを脱いだままの紬の素足の爪先に砂が残っている。
梓が手で払ってやるとペディキュアの光沢のある爪が見え、砂粒はぱらぱら落ちて地面に吸い込まれて見えなくなった。






おわり


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