過去ログ - ほむら「この話に最初からハッピーエンドなんて、ない」
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21:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします[saga]
2012/02/16(木) 00:36:30.35 ID:hAmAlqxK0
断っておくが、今挙げた事柄を容易いとするのは誤りだ。
これはほむらが、何度も過去と未来を行き来することで得た、
見滝原に現れる数々の魔女に対する、圧倒的なアドバンテージがあるからこそ成せる業なのだ。
その域へほむらが到達するまでに、死の恐怖や命の危険に幾度も晒されたことは言うまでもない。

ともあれ、大まかな行動方針は決まった。
この回は、次への準備期間だと割り切るしかないだろう。
目的が既に失われた今、ミスを犯さずに繋ぐのが最大の課題ではないか。

通常の魔女を倒すのに、ほむらにとって必要な物。
時間停止の魔法と、設置・投擲用の時限爆弾。その他小道具。培った技術と経験。そして、統計。
これらを駆使して、魔女の討伐を行う。

速やかに補うべき事項がこの中にあるとすれば、爆弾の製作くらいだろう。
その為に必要な部品・火薬類は、買い物や窃盗で入手している。
準備万端とは言い難いし、気持ちはとても不安定だったけれど。
今日から、再出発するしかない。

朝になるまで、ほんの数時間。
上手く眠りにつけそうにないが、長時間じっと丸まり強張った身体を少しでも休めよう、と
ほむらは横になり布団を被った。
そのまま、己の無意識の底へ、どこまでも深く深く沈み込む様に固く目を閉じた……。


太陽も頂上を過ぎた頃、ほむらは統計に従い魔女退治を行う為、緑地公園へ赴いていた。
この日時、中央部の人気の少ない森林地帯に踏み入れば、高確率で数時間の間に魔女に遭遇出来るスポットだ。
一般人にはどうあっても遠慮して頂きたいコースである。
……因みに、お手製爆弾や拳銃などは盾に格納済みだ。

昼下がりの公園は、小さな子供連れの母親や、休日を満喫していると思しき数人組が居る程度だ。
他に見えるのは、ベンチに座った後姿や、軽食屋台くらいのもの。

辺り一面を包む穏やかな陽気に反して、ほむらの心には、冷たい隙間風が吹き込んでいた。
まどかが居ないというのに、世界はこんなにも変わりなく流れ続けている。
その事実が、ほむらにはとても辛かった。

以前に魔女が出現したポイントは、この緑地公園でも外周入口からは最も遠い部分、中央部になる。
魔女というものは、普段は結界に隠れ潜み、人の目を逃れて転々としている。
結界を張って過ごすのも、大抵は人目につかない場所だ。

芝生の横を通り抜け、木々が生い茂る所まで来ると、ほむらはソウルジェムを宝石形にして、反応を確かめる。
微かに反応があった。ソウルジェムは鈍く明滅し、ここに何らかの怪異が在ることを示していた。
だが、これは――。

「反応が弱い……魔女ではなく、使い魔?」

公園に向かう道すがら、時折反応を確認してはいたのだが、一般には結界との距離が離れるほど、敵の力量を測るのは難しくなる。
これだけ近付いても大した反応が出ないのなら、ここに居るのは魔女本体から独立した使い魔の可能性が高い。
ハズレだったか、とほむらが内心で舌打ちした、その時。
ソウルジェムが再び明滅し、次なる敵の出現を告げた。


……結局、数時間捜索した挙句、収穫はゼロ。
新たに現れた反応は数km以上先を示していたが、ソウルジェムの輝きからいって、魔女だろうと推測出来た。
渡りに船とばかりに、ほむらは現場へ急行したのだが、到着する頃には魔女は逃げた様で、反応は消えてしまっていた。
その後、魔女の姿を求めてそれらしいポイントを巡るも、悉く不発。
骨折り損の草臥れ儲け、とはこのことだ。

万事が常に上手く運ぶ筈はないので、こんな日もあると思わねばならない。
が、現実的な問題として、ほむらのソウルジェムはかなり濁っていた。
ソウルジェムの真実を知る者としては、この状態は気が気でないのだ。

ほむらは、先程の緑地公園まで戻ってきた。
特に戦果も挙げられず、また今夜は魔女の出現率が統計上低い為、公園を通過して帰宅するつもりだった。
そろそろ夕刻。空は、相変わらずほむらの癇に障る、憎らしいまでの晴れ模様が紅に染まろうとする――その瞬間だった。


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