4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 21:36:12.45 ID:mvOgZccS0
高校生になってから、私はできるだけ姉とは顔を合わせないようにした。
ちょうど姉も大学生になったばかりで、忙しくなってきたところだったのだ。
最初は姉を無視することは気が引けて、お互い忙しいことで顔を合わせないでいられるのが気楽だった。
けれど新しい生活が落ち着き始めると、姉はいつもどおりに私に接しようとした。
初めて姉の「ただいま」に答えなかったとき、姉が何事もなかったかのようにリビングの扉を閉めて、けれど見えた横顔があまりにも悲しそうだったことを、今でもよく覚えている。
それを見てから、私は今度は逆に、このままなにも話さないで無視するほうが、いっそ気が楽なのかもしれないと思うようになった。
姉の悲しい顔を見るのが、好きなわけじゃない。
できれば、見たくないというのが本音のはずだ。だけど、それでもこうしなければ、姉は、本当に私の傍をずっとくっついて離れないのではないかと、思ったのだ。
そう、だから。
姉「今日は、いつもよりも味を濃くしてみたんだけど」
妹「……ふーん」
静かな食卓。
これが近頃の当たり前の風景になっている。
幼い頃二人で決めたルールで、食事をするときはテレビをつけないことになっていた。
それでも笑って囲んでいた食卓は今はどこにもなく、今はただ重苦しい沈黙が支配するなかを、姉は時々はっと気付いたかのように言葉を発する。
11Res/8.72 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。