過去ログ - 双葉杏「プロデューサー……なんで……?」
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1: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/09(水) 23:00:58.79 ID:dOqq4cwS0

 気がついた時には、俺は杏を押し倒していた。
 華奢すぎる手を押さえつけ、体の上に乗る様にすれば、もうこいつは動けない。

「プロデューサー……なんで……?」

 杏の声。
 こんな状況だと言うのに、その声には脅えも困惑も混じっているようには聞こえない。
 ただ純粋に、不思議そうな声色だった。

 おい、こんな状況だぞ。少しは怯えて見せろ――制御を失った俺の心が、嗜虐の声を上げる。
 だが杏は……イヤになるほど透き通った目でこちらを見て……俺の頬に、手を差し伸べてきた。

「プロデューサー……なんで……泣いてるの……?」


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2: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/09(水) 23:03:28.45 ID:dOqq4cwS0

――――――――――――――――
―――――――――
――――

以下略



3: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/09(水) 23:05:10.04 ID:dOqq4cwS0

 俺達は中学校までは一緒の学校だったのだが、兄貴は地元の進学校に進んだ。
 「高校からは、一気に勉強が難しくなって大変だよ」とか言いながらも、兄貴はそこでも成績優秀な生徒だったようだ。

 兄貴は都会の名のある大学への進学を決めた。
以下略



4: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/09(水) 23:06:03.97 ID:dOqq4cwS0

 だが、その優秀な兄貴が引き籠りになった。
 就職活動を控えた大学3年生の終わりごろから、兄貴は借りていたアパートに引き籠って外に出てこなくなったそうだ。

 大学受験を控えていた俺には、両親は気を使って知らせてもらえなかったので、また聞きになるのだが……以前の穏やかな性格はなりを潜め、人が変わった様に説得に行った両親を口汚く罵ったそうだ。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/09(水) 23:19:50.49 ID:/n8jPLWeo
感情移入しやすいな

支援


6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/09(水) 23:27:47.02 ID:Wyk32EY2o
杏ちゃんが幸せでありますように…


7: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/09(水) 23:31:35.03 ID:dOqq4cwS0

 俺は兄貴の部屋の片づけに駆り出された。
 遺品を整理し、特殊な清掃業者に来てもらう。そしてお祓いをする。
 こんな手順を踏む事で、部屋の弁償代を払わずにすむようなるそうだ。
 その事を聞いて、父は安心したような溜息を吐いていた。
以下略



8: ◆BHsoERvI06Cm[sage]
2013/10/09(水) 23:56:47.20 ID:dOqq4cwS0
すみません。再開は少し間が空くかもです。


9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/09(水) 23:57:48.46 ID:hY84B2FRo
すごいねとか言われるけど誰にも本当の自分を見てもらえなかったんやろなあ


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 00:20:35.19 ID:GrN1VnlBo
十で神童十五で才児、二十歳過ぎれば只の人


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 13:05:49.14 ID:UDX3i1hAO
なんか辛いな


12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/15(火) 15:06:52.88 ID:q8yCFuf2o
いいね


13: ◆BHsoERvI06Cm[sage]
2013/10/18(金) 20:17:39.19 ID:tTpjpReZ0
>>2の4行目、訂正。

×とはいえ、兄弟中は悪くはなかったように思う。

〇とはいえ、兄弟中は悪くはなかったように思う。
以下略



14: ◆BHsoERvI06Cm[sage]
2013/10/18(金) 20:19:02.82 ID:tTpjpReZ0
あれ、訂正出来てないや……。

×とはいえ、兄弟中は悪くはなかったように思う。

〇とはいえ、兄弟仲は悪くはなかったように思う。


15: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/18(金) 20:19:56.32 ID:tTpjpReZ0

 母が心労ゆえか少し体調を崩したりしたが、概ね日々は元通りになった。
 というより、俺も大学進学ゆえの慣れない環境に置かれたため、いつまでも気にはしていられなかったのだ。

 大学生活は楽しかった。新しい友達ができた。サークル活動やバイトに精を出した。はじめて彼女が出来た。
以下略



16: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/18(金) 20:20:38.72 ID:tTpjpReZ0

 彼女に振られた。彼女は去り際にこう言った。「貴方は私の心をちゃんと見てくれなかった」と。

 なんだよ、心を見なかったって。

以下略



17: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/18(金) 20:21:44.37 ID:tTpjpReZ0

 兄貴が何故死んだのか、当然と言えば当然だが、その原因は調べられた。
 その中で知ったことだが、兄貴には彼女はおろか、友達すらいなかったらしい。

 正直、ちょっと信じられなった。
以下略



18: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/18(金) 20:22:32.91 ID:tTpjpReZ0

 就職活動はめんどくさがって始める時期が遅かったため難航した。

 夢と目標をきっちりと定め、真摯に取り組みましょう……めんどくさがりの俺としてはゲロゲロゲー、ってな思いだった。

以下略



19: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/18(金) 20:23:15.93 ID:tTpjpReZ0

「くっはー……疲れるぜぇ……」

 雑用を任されながら、業務を必死に覚えて行く毎日。
 事務所自体が新興と言うこともあり、とにかく仕事は動いて覚えな! ってな昔の丁稚奉公みたいなスタイルだった。
以下略



20: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/18(金) 20:24:13.44 ID:tTpjpReZ0

 入社して半年にて、俺は本格的にプロデューサーとしての業務を任されることとなった。

「しかし、プロデュースする娘も、自分でスカウトしてこいとは……中々に骨が折れるぜ……」

以下略



21: ◆BHsoERvI06Cm[saga]
2013/10/18(金) 20:25:58.24 ID:tTpjpReZ0

 そうして酔っ払いながら深い眠りに着くときには、俺は昔の夢をよく見た。
 
 時代は小さい頃……まあ、よく一緒にいた小学生時代のものだった。
 だが、その時の兄貴は俺達と一緒に笑って遊んでいた筈なのに……俺達の輪から外れた所で、睨むようにこちらを見ていた。
以下略



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