過去ログ - 比企谷八幡「だれかが風の中で」
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22: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/22(金) 17:39:07.45 ID:/SL6zkYoo
中に入ればやはり変哲のないごく普通のめし処で、いくつかの机に椅子があり、客の入りもそこそこのようであった。
店の奥の厨房には初老の男性が調理をしているのが見えた。
そのうちに男性と同じ年くらいの、おそらくは伴侶であろう女性に案内を受け、椅子に座る。

角ばった木製の椅子で、臀部に座布団が敷いてあるだけのものだから、座り心地は良いものではない。
以下略



23: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/22(金) 17:40:24.61 ID:/SL6zkYoo
当初の予定通り、うどんを頼む。気温が高いので、ざるを頼んだ。

そういえば、と八幡は思い出す。
かつての知人の姉、今では友人といっていいかも知らないその人いわく、ざるそばに日本酒が合うらしい。
無論八幡は未成年だから酒を頼むわけには行かないが、二十歳を迎えたらざるそばと日本酒の組み合わせというものを試してみるのも良い。
以下略



24: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/22(金) 17:41:24.50 ID:/SL6zkYoo
至極一般的なざるうどんである。特筆すべき点などない。
だがだからこそ、不変的な価値があるように思えて八幡には好ましく感じられる。

食事に取り掛かる前に、手を合わせ、いただきます、と呟いて割り箸を割く。
まずはつゆにきざみねぎとわさび、うずらの卵をいれ、ゆっくりとかきまぜる。
以下略



25: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/22(金) 17:42:17.55 ID:/SL6zkYoo
静かに啜れば、口いっぱいにまろやかな甘さとすこしの辛さが広がる。
汁気に負けないほど濃く主張する旨みの刺激が、舌を悦ばせる。
一口分を口に含み、ゆっくりと噛む。弾力のある麺は噛めば噛むほど口中で躍動し、つゆと共に多幸感をもたらす。
時折つん、と鼻を刺激するわさびの感触に、きざみねぎの食感、うずらのぬめりとした舌触りが味に彩りを加える。
満足いくまで顎を働かせれば、なめらかに喉を通り胃へと流れていく。
以下略



26: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/22(金) 17:43:35.77 ID:/SL6zkYoo
結局うどんはあっという間に平らげた。
代金を支払い、店を出る。
適当に見繕った店がいわゆる当たりだと確信したときの高揚は、味覚に補正を与えてくれる。
明日の昼もまた寄ってみてもいいかもしれなかったが、やはりそこは旅の路、偶然を頼りに新たな発見にかけてみたくなるのが八幡の性であった。

以下略



27: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/22(金) 17:45:10.95 ID:/SL6zkYoo
すこし歩くと、道は小川を外れだした。
小さな小道が小川に沿って敷かれているが、その先には明らかな民家が立ち並んでいる。

みだりに観光地の外、特に住宅地や居住区に足を踏み入れることはしない。
八幡の旅における数少ないルールのひとつだ。
以下略



28: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/22(金) 17:46:08.32 ID:/SL6zkYoo
この道を抜けた先に温泉があるようで、遠く湯気が立っているのが見えた。
この街で一番有名だという温泉だろう。道の左右にも銭湯が点在しており、いよいよ温泉街といった心地を覚えて、八幡は笑みを浮かべた。

全部で10近くあるという温泉を全て廻るなど思っていないのだが、せめて2つ3つくらいは廻れるように動きたい。
そうと決まれば、一旦宿に戻ろう。
以下略



29: ◆gIYX1xRWqRqj[sage]
2013/11/22(金) 17:48:51.55 ID:/SL6zkYoo
さしあたりここまでです。
続きは翌日にでも投下したいと思っております。
ありがとうございました。


30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/22(金) 17:51:12.71 ID:XXKB/7GCo
一人旅なら会話文は出てこないよな
新鮮な感じな文章


31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/22(金) 17:56:51.25 ID:cdhogkXLo
乙乙

木枯らし紋次郎?


32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/22(金) 20:28:46.50 ID:696I/mA60



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