過去ログ - 千秋「隠し味には、ありのままを」
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2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/14(金) 22:18:48.55 ID:UFBD+olCo


 雪が降る。
 二月十四日の特別な夜は、異様な白色に染まっていた。

 独特な風を送る音を聞きながらキーボードを叩いている俺は、ついぞ増えてしまった仕事を消化するためにいそいそと文字を打っていた。

 事務所には誰も居ない。無論、ちひろさんもである。

 何故かと言われればそれはもう雪のせいとしか言いようがなく、帰宅困難者になる前に……丁度夕飯の前ぐらいだろうか、俺が帰宅を提案したのだ。

 その結果、ただでさえ夜遅くまで積み上がっているのに更に仕事をしなければならなくなり、今日は寝泊まりせざるをえないか、とさえ考えているのであった。

「……家よりはマシか」

 時計を見るとまだまだ次の日には遠く、今の作業状態を鑑みれば日をまたぐ前に事務所を後にできそうだ。
 しかし、正直に言うと今日はもう帰るつもりがないのだった。

 帰宅を提案していざ事務所を去ろうとした時、ちひろさんは夜遅くまで仕事しすぎないように口酸っぱく言っていたが、今日は仕方ない。
 彼女が帰宅困難者になりかねないのと同様に、俺もそうなのだから。

 加えて、自分の家よりも事務所のほうが快適というのもある。

 薄い壁に囲まれて寝るぐらいなら、事務所の仮眠室で寝た方が良いのは自明なのであった。





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