過去ログ - 千秋「隠し味には、ありのままを」
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6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/14(金) 22:26:44.47 ID:UFBD+olCo
「お、ああ……バレンタインか」
「あら、あまり興味がなさそうね」
一瞬反応が鈍った俺に、千秋は鋭く声を投げかけた。
千秋は今日、事務所に行く予定が無かったのでわざわざ私に来てくれたということらしい。
一方、彼女からのチョコレートに興味がないのではない。
少し理由があるのだ、と机の片隅に積んだ空箱を見せてやると、即座に彼女も納得してくれた。
「私程度のチョコレートじゃPさんは喜んでくれないみたい。流石、人気のプロデューサーね、ふふ」
「茶化すなよ。それに、そういうのじゃない」
口元に手を当てて、ゆらゆらと長い髪を揺らして彼女は微笑んだ。
夜の空に溶けこむような漆黒の髪が、雪に照らされて一層輝いて見えた。
「そういうのって?」
千秋は俺の目をしっかりと見つめ、僅かに首を傾げた。
「そりゃあ……そうだろ」
俺は机に積まれた空箱に視線を向けて呟く。
ここに置かれているチョコレートというものは、安易に分類できる品物ではない。
これが市販のチョコレートであるのなら、ある程度友好の証という風に区切れるのだろうが、ことこれらに至っては容易ではない。
しかし、一方で俺と彼女たちの間に個人的な関係はないのだ。
それが絶対視されるべきことならば、このチョコレートをくれた彼女たちにそのような気が無いことは明らかだろう。
それにしても、世間では死ぬほど彼女たちの手作りのチョコレートを欲しがる人がごまんといるだろうに、それを俺が労せず手に入れているというのは何とも皮肉な話である。
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